アジア人初快挙となるプレミア得点王 挑戦者だったソン・フンミンはトッテナムの顔となった

ノリッジ戦で2ゴールを決めたソン photo/Getty Images

23ゴールを挙げてサラーと並び得点王に

ソン・フンミンがプレミアリーグのアジア人選手史上初の快挙を達成した。トッテナムはプレミアリーグ最終節でノリッジと対戦し、5-0と圧勝。4位を確定させて来季のUEFAチャンピオンズリーグの出場権を獲得すると同時に、この試合で2ゴールを決めたソンがリヴァプールのモハメド・サラーと並んでプレミアリーグの得点王に輝いた。

今季のトッテナムは決して良い状況で開幕を迎えたとは言えなかった。8月半ばに開幕したプレミアリーグで、昨季得点王とアシスト王の2冠に輝いたチームのエースであるハリー・ケインがマンチェスター・シティ移籍騒動の渦中にいた。そんななか迎えた開幕戦でシティと対戦。ケインは欠場となり、試合展開も相手に攻められて劣勢の状況が続く。それでも昨季王者を破る一発をソンが決め、開幕戦を勝利で飾る。

王者を倒した勢いそのままに開幕3連勝を飾って首位に立ったトッテナムだが、好調は長く続かず。クリスタル・パレス、チェルシー、アーセナルに3連敗を喫し、その後も不安定な試合が垣間見え9試合で4勝5敗と負け越した。ウェストハム、マンチェスター・ユナイテッドら上位陣に立て続けに負けたこともあり、順位もズルズルと落としていく。ケインの残留は決まったが、復帰後は低調なパフォーマンスが続いていた。その中で孤軍奮闘するソンは4ゴールを決めたものの、同試合数でサラーは10ゴールを決めており、得点ランキングでもトップとは大きな差が開いていた。

その後ヌーノ・エスピリト・サント前監督が解任となり、アントニオ・コンテ監督が就任。1月にはデヤン・クルゼフスキら即戦力を補強して逆襲に出る。結果的に彼は5ゴール8アシストを決めるなど、チャンスメイクに長けた男を味方に付け、ケインも徐々に復調していく。そしてチームとソンに大きな勢いをもたらしたのが、第30節のウェストハム戦だ。

試合後にロッカールームで互いを称え合う photo/Getty Images

終盤にケインとのコンビでゴールラッシュ

当時7位だったトッテナムは、6位のウェストハムと勝ち点48で並んでいた。上位対決でことごとく敗れていた今季のトッテナムだったが、この日はケインとソンのコンビが躍動。ケインのアシストからソンが2ゴールを決めて3-1で勝利し、5位まで浮上したことでCLへの望みが見えた1勝となる。

すると昨季アシスト王にも輝いたエースと韓国代表FWのコンビがチームを好成績へと導いていく。ソンはウェストハム戦での2得点を皮切りに10試合で12ゴールを決めるなど、高い得点力を発揮してサラーに追いつき得点王を獲得。ケインも同試合数で5ゴール6アシストと本来の力を見せ、チームはラスト10戦を7勝2分1敗で乗り切り、CLの座をつかんだ。

シーズン途中の監督交代など、チームとしては決して順風満帆な1年ではなかった。それでも苦しい序盤戦で孤軍奮闘し、チームの勢いが増した終盤には自らが先頭に立って攻撃陣をけん引。今季のトッテナムにおいてソン・フンミン以上の功労者はいないだろう。2015-16シーズンにレヴァークーゼンからプレミアへの挑戦を決断して7シーズン目。アジア人初の快挙となったスパーズのアタッカーは、チームの顔といえる存在へと成長した。

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