今季のグリーリッシュは言われるほど悪くない? シティで任されている重要な役割とプレミアトップの“アシスト期待値”

今季は批判の集まるジャック・グリーリッシュ photo/Getty images

スタッツに彼の貢献度は示されていた

今季プレミアリーグの注目の的となったロメル・ルカク、ジャック・グリーリッシュ、ジェイドン・サンチョの高額移籍金トリオ。日本円にして100億越えの移籍金が支払われており、その活躍ぶりが期待された。しかし、ルカクはチームにフィットできず移籍を示唆。グリーリッシュ、サンチョもリーグ戦で3ゴールずつと目立ったパフォーマンスは見せられておらず、期待外れといわれても仕方ない。

だが、英『The Athletic』ではマンチェスター・シティのグリーリッシュは批判されるほど悪いパフォーマンスではないと主張している。その根拠は彼が今季残しているスタッツにある。

英『The Athletic』によると、今季900分以上プレイした選手の中で最もアシストの期待値が高いのはグリーリッシュの0.33だという。これは3試合に1度アシストを記録する数値となっており、プレミアリーグではケビン・デ・ブライネ、モハメド・サラー、トレント・アレクサンダー・アーノルドよりも高い。また、セットプレイを除くオープンプレイからの90分ごとのチャンスメイク数2.5回はデ・ブライネに続くリーグトップレベルの数字である。今季アシスト数は3だが、チームメイトがよりゴールを決めていればアシストランキングの上位に食い込んでいた可能性は十分にある。

スタッツに表れないところでいえば、狭いエリアでのキープ力はすでにシティでも上位のものを持っている。シティはスタイル上、相手を押し込むことが多い。それは攻撃面で強みになるが、守備面では自陣の後方に大きなスペースを空けることになり、例えばトッテナムのソン・フンミンのような優れたアタッカーには格好の的として使われてしまう。それでも、押し込んだ際にボールをロストする回数を減らせればその危険性は減る。その点でグリーリッシュは優れている。左ウイングで起用されることの多いラヒーム・スターリングはスピードに長けたアタッカーで、一気にトップスピードに持っていく加速力は素晴らしい。その武器からPKを獲得したこともある。しかし、ボールを扱うテクニックはウィークポイントであり、彼のボールロストからカウンターを受ける場面は散見されている。

シティがグリーリッシュを獲得したのは、この狭いエリアでもボールを失わずチャンスメイクできる点だろう。それは今季すでに発揮されており、2-2と引き分けたウェストハム戦ではゴールを決めてチームに貴重な勝ち点1をもたらした。

また、このキープ力はシティの攻撃時の崩し方と非常に相性がいい。シティは前述したように相手を押し込むことが多い。そうすることでよりボールを相手ゴールに近づくことができるが、その反面スペースがなくなってしまう。そうなれば苦しいのだが、シティは左サイドに相手選手を集中させ一気に右サイドに展開してスペースを見出す戦い方を選んでいる。そこでもグリーリッシュのキープ力は重宝される。スペースのないアタッキングサードでどれだけ違いを見せられるのかが、グリーリッシュに任されたタスクだ。

それでも、周囲の批判を黙らせるには多くの数字が必要になる。もちろん、それは3ゴール3アシストでは足りない。来季はストライカーであるアーリング・ハーランドの加入が決まっており、アシスト数を増やせるようになればおのずと批判はなくなるだろう。

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