メネズ、アネルカ、C・ロナウド、カカー…… アンチェロッティの上手すぎるアタッカーとのお付き合い

ロナウドと談笑するアンチェロッティ photo/Getty Images

個性の強いFWから若手育成まですべてに対応

ベテランFWカリム・ベンゼマの能力を引き出しつつ、若いFWヴィニシウス・ジュニオールやロドリゴ・ゴエスの成長も促していく。レアル・マドリードで魅せる名将カルロ・アンチェロッティの指揮は見事だ。もちろん選手の頑張りがあってこそだが、ヴィニシウスの育成などアンチェロッティの手腕によるところも大きい。

アンチェロッティの指導者キャリアを振り返ると、これまでも様々なタイプのアタッカーたちと上手く付き合ってきた。ヴィニシウスと同じブラジル人アタッカーという点では、ミランを指揮していた2003年にサンパウロからやってきたFWカカーを上手く育てたのも印象的だ。

カカーは特大のポテンシャルを持っていた選手だったが、アンチェロッティはクリスマスツリーとも呼ばれる[4-3-2-1]を使用してカカーの個性を最大限に引き出した。カカーは2007年にバロンドールも受賞しており、それから15年の時を経て若きブラジル人アタッカーのヴィニシウスやロドリゴ育成に携わっているのは何とも特別な感覚がある。2人もバロンドール最終候補に入るような存在へ成長できるだろうか。
他にも1度目のレアル・マドリードではクリスティアーノ・ロナウド、ベンゼマ、ガレス・ベイルら個性の強いアタッカーを上手くまとめてチャンピオンズリーグを制覇したり、パリ・サンジェルマンではジェレミー・メネズ、ズラタン・イブラヒモビッチ、チェルシーではニコラ・アネルカなど、やや個性が強すぎるアタッカーたちとも上手く付き合う術をアンチェロッティは知っている。

ナポリを指揮した2018-19シーズンには、ロレンツォ・インシーニェ(10得点)、ドリース・メルテンス(16得点)、アルカディウシュ・ミリク(17得点)と、アタッカー3人がリーグ戦二桁得点を記録。リーグ戦は2位と惜しくもスクデットに届かなかったが、ナポリは77得点のアタランタに次いで多い74得点を奪っており、アンチェロッティはチームに確かな攻撃性を植え付けていた。

特にミリクは5大リーグで初の二桁得点達成となり、一気に評価を上げるシーズンになった。5大リーグではこのシーズンがミリクにとってキャリアハイだ。

エヴァートンではFWリシャルリソン、ドミニク・カルバート・ルーウィンの若きアタッカー2人がプレミアリーグで揃って13得点を記録した。この2人にとっても、アンチェロッティの指導は大きかったのではないか。

特にカルバート・ルーウィンはこれが初の二桁得点で、この活躍が2020年10月のイングランド代表招集に繋がったのは間違いない。今季は怪我に苦しんでいるが、25歳のカルバート・ルーウィンが代表でも計算できるストライカーになったのは大きい。

今チームに揃うピースを最大限に活かしつつ、アンチェロッティは常に攻撃的な姿勢を見せてきた。時にはレジェンドのストライカーに自由を与え、時には若い有望株を育て上げるなど、攻撃組織完成へアプローチは非常に柔軟だ。

今季もヴィニシウスがいきなりリーガ・エスパニョーラで二桁得点を達成すると予想していた人は少ないはずで(14得点)。本人にとってはビッグステップのシーズンになっている。

こうしたアンチェロッティの手腕は高く評価されるべきで、アタッカーたちはアンチェロッティとの仕事を楽しんでいるに違いない。

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