[特集/E組2強を打ち倒せ! 03]サプライズ招集がE組突破の鍵を握る! 日本代表W杯メンバーはどうなるのか

 スペイン、ドイツという世界を代表する強豪と当たることになった日本代表。厳しい戦いとなることは間違いないが、今の日本の選手層は歴代でもっとも充実しているといっても過言ではなく、これは日本サッカーの成長を世界に見せつけるチャンスでもある。どのようなメンバーでW杯に臨むべきなのか。新型コロナの影響で登録選手が26名に増えるという話もあり、そうでなくてもバックアップメンバーの3枠がある。以上を踏まえ、サプライズ招集も含めた26名を、編集部が予想してみた。

守備はもっとも重要なポイント 左利きCBは必要ではないのか!?

守備はもっとも重要なポイント 左利きCBは必要ではないのか!?

冨安、板倉ら正確なパスを前線に送れるDFの充実は明確なストロングポイント photo/Getty Images

前田「さて、対スペイン、対ドイツと、非常に厳しい相手となりました。この相手から勝点を獲らなければ先はないわけで、現状の招集選手をベースに『勝てるメンバー』を考えてみたいと思います。まずはGKから」

藤井「現・正守護神の権田はまず当確でしょうね」

前田「そうですね。ハイボールの処理などを不安視する声もありますが、いきなりGKを代えることは考えづらい。他のGKも実力的に遜色ないなかで、権田が信頼を掴んでいるのは、コーチングなど目に見えない部分の貢献が大きいのかなと考えられます」
松尾「そうなのでしょうね。ロンドン五輪でスペインを破ったときのGKも権田でしたし、そういう経験の意味でもアドバンテージがあると思います」

中村「川島に関しても、次のGKを育てるためのメンター的な役割で呼ばれているのではないか、という見方もありましたが、予選最終節のベトナム戦では彼がスタメンでした。もちろん国際舞台の経験値もずば抜けていますし、森保監督のなかで揺るがない信頼があるのでしょう」

前田「あと1人は、やはりシュミットでしょうかね。197cmというサイズは、世界で戦う際には魅力的」

藤井「そうですね。最終予選では谷も4人目のGKとして呼ばれましたが、彼は若くて将来性もある選手なので、サポートメンバーとして帯同させるのが良いのではないかと思います。シュミットなら、高さのあるドイツのセットプレイなどでも対応できそうですよね」

前田「結果、今の3人はベストなのかもしれないですね。ではDFはどうでしょうか。相手にボールを持たれる展開が予想されるだけに、ここは極めて大事なポイント」

中村「主将の吉田を外すことは、まずないでしょう。彼の経験値は貴重ですし、権田と同じく五輪でスペインを破ったときのメンバーでもあります」

松尾「そうですね。CBの相方は冨安、バックアップに板倉、谷口というところでしょうか」

前田「安定感で言えば、その4人は外せないですね」

藤井「ドイツ戦もスペイン戦も、彼らからボールを奪ったときに後ろのスペースをいかに突くかという戦いになるはずです。長いパスを正確に出せるということを考えても、冨安や板倉らの力は必要になってきますね」

中村「海外での経験というところも、考慮に入れたいですよね。そうなるとSBも酒井、長友が、やはり外せない存在ということになってきます」

松尾「ドイツが相手となれば、ブンデスリーガでの経験値も大事。そうなると面白いのが、シュツットガルトのレギュラーCB伊藤洋輝の存在です」

前田「貴重な左利きだしね。いざとなればSBもやれるし。ロングフィードの精度も高いから、一気に対角の伊東まで通すパスなど期待できる。相手の足が届かないところにボールを置く、左足でのキープも素晴らしい。代表未招集ですけど、1人目のサプライズ招集候補は彼で決まりじゃないでしょうか」

藤井「押し込まれる時間が長いことを考えると、5バックでスペースを消したり、SBにもCBタイプを置くというような工夫が必要かもしれません。伊藤は左、冨安は右のSBができるし、もちろん中山もいます。攻撃を跳ね返しつつ好機を伺って、スペースを突いて一気に攻めるという形をベースとするなら、中山も必要な人材じゃないでしょうか」

中村「あと1人面白いと思うのが、シント・トロイデンの橋岡大樹。リーグ戦では屈強な欧州のDF相手に高い空中戦勝率を記録していますし、クロスの精度も上がってきました。サイドに起点を作らせないという意味でも、彼を連れて行くのは選択肢に入ると思うんです。これもサプライズになりますね」

MFはプレス強度の高さと、攻撃の切り札になれるかが鍵

MFはプレス強度の高さと、攻撃の切り札になれるかが鍵

鎌田は代表選考から漏れてしまっているが、彼が入れば攻撃はスムーズになるだろう photo/Getty Images

前田「MFは現在中心になっている遠藤、守田、田中の3人衆は外せないとして、センターの位置では原口の存在も大事になりそうですね」

松尾「先日のベルリンダービーでもそうでしたけど、プレスのかけ方が上手いですよね。得点への意識もあるけど守備も成長している。ここぞの攻め上がりのタイミングも絶妙でしたし、それでゴールも奪った。よりオールラウンダーとして開花しましたよね」

藤井「スペイン戦などプレスの強度が鍵になりそうだから、終盤に強度を落とさないという意味でも原口はいてほしい選手ですね」

前田「攻撃的なMFでいえば、まず最終予選大活躍の伊東は当確。裏を狙って行くことを考えたら、より伊東にはチャンスが増える可能性もある」

松尾「あとは南野でしょうか。オーストラリア戦ではシュートが入りませんでしたけど、逆にいえば南野はそれだけ打てているわけで、CLなど大舞台の経験もある。ハイプレスもクロップから散々仕込まれているでしょうし」

中村「スペインと戦うことを考えれば、久保も必要だと思います。誰よりもスペインのリズムを知っている選手ですよね」

藤井「例えば1点を先行されて点を獲りにいかないといけないとき、攻撃のテンポを変えられるのは久保の強みだし、彼の技術や閃きに頼る場面も必ずでてくるはずです。そういう意味では、鎌田も欲しくなってきますね」

前田「最近招集されていないけど、ELのバルセロナ戦で見せたライン間でのボールの受け方やコントロールは素晴らしかったし、カウンターの起点になっていましたよね。2戦目も含めて絶対に得点が欲しい場面はあるわけだから、スペインを知る久保やバルサを苦しめた鎌田は、攻撃のコマとして欲しいところですね」

中村「あとはジョーカーとして、三笘は連れて行くべきでしょう」

藤井「運び方が独特ですもんね。あのドリブルに初見で対応するのはかなり苦労すると思うので、終盤の切り札は彼しかいないと思います」

松尾「中盤の攻撃的な選手は揃っていますね。もう1人、中盤でハイプレスをかけられるような人材がいるといいのですが……」

藤井「名古屋の稲垣祥はどうでしょう。攻守両面で走り回れるし、チームを引っ張るキャプテンシーも持っている。いざというとき、頼りになる選手だと思います」

前田「スペイン相手に90分ハイプレスをかけ続けるのは至難の業ですからね。理想的なバックアッパーかもしれない。彼の招集もサプライズとしてありですね」

どんなシーンでも対応できるようFWはさまざまなタイプを揃えたい

どんなシーンでも対応できるようFWはさまざまなタイプを揃えたい

原の日本人離れした体格と強靭なフィジカルは、日本に欠けている高さをもたらす photo/Getty Images

前田「FWは絶対的な存在がいませんが、タイプ別にシチュエーションを想定しながら考えたいですね。まず前線で収めてくれる選手としては大迫」

中村「カウンターやセットプレイなど、日本のチャンスは限定的になりますからね。大迫が活きるシーンは想定できるし、周りとのコンビネーションも彼に一日の長があるでしょう」

藤井「収めてくれるといえば、上田もいるんじゃないでしょうか。ゴール前のプレイでも、何度もポジションを取り直す動きは相手からしたら厄介だし、彼の駆け引きの上手さ、点取り屋としての嗅覚が世界でどれだけ通用するか、見てみたいです」

松尾「あとはスピードタイプですね。ロンドン五輪の永井のように、ショートカウンターで裏抜けを狙っていくときに輝く選手。前田、浅野など候補が何名かいますが」

中村「僕は古橋じゃないかなと思います。セルティックでいちばん結果を出しているのは彼だし、得点力という部分ではもっとも信頼できるのでは?」

前田「そうかもしれませんね。タイトルのかかったカップ戦でも彼のゴールでセルティックは優勝した。こないだは復帰早々ゴールの起点になる活躍も見せたし、今季公式戦16ゴールは伊達じゃないですよね」

松尾「オプションとしては、際立った高さのある選手も欲しいですよね。セットプレイの守備で貢献したり、終盤のパワープレイもできるような」

藤井「シント・トロイデンの原大智は面白いかもしれません。191cmの身長ならドイツ、スペインのDFにも高さで対抗できるし、高いだけじゃなく体が強い。ベルギーでは相手DFに掴まれているのに、強引に頭でねじ込んだゴールもありました」

中村「香川のパスを完璧に収めてゴールに繋げたシーンもあったように、実は技術もあるんですよね。彼も代表招集経験はありませんが、だからこそサプライズを提供できる存在になり得ると思います」

前田「こうしてみると、今の日本には歴代最強と言っていいメンバーが揃っていますね」

藤井「そうだと思います。スペイン、ドイツといえど一発勝負の行方はわからないですし、彼らがそれぞれ持ち味を発揮できれば、日本が勝つことも十分にあり得るんじゃないでしょうか」

※電子マガジンtheWORLD268号、4月15日配信の記事より転載

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