ベニテスは名将なのか 《イスタンブールの奇跡》実現も怪しい評価

果たしてベニテスは名将か photo/Getty Images

リヴァプールを離れてからは思うほど結果が出ていない

果たしてラファエル・ベニテスは優秀な指揮官なのか。評価は難しいだろう。

スペインよりスタートしたベニテスの指導者キャリアは最初こそ苦労したが、2001年に就任したバレンシアでリーガ・エスパニョーラを2度制覇、さらにはUEFA杯を制覇する大成功を収めた。2004年にはリヴァプールへ向かうことになり、そこではあの有名なイスタンブールの奇跡を実現。リヴァプールにチャンピオンズリーグのトロフィーをもたらした。

プレミアリーグ制覇は達成できなかったが、ベニテスは2006-07シーズンにもリヴァプールをチャンピオンズリーグ決勝へ導いている。当時はイングランド勢が強さを見せていたが、それでも2度のファイナル進出は簡単に達成できるものではない。2008-09シーズンはFWフェルナンド・トーレスとMFスティーブン・ジェラードのコンビも完成させてプレミアリーグで2位に入る健闘を見せるなど、リヴァプールでの生活はベニテスのキャリアで1番充実した時間となった。
2010年より指揮したインテルではマッシモ・モラッティ元会長との関係が早々に問題化してあっさりと退任したが、2012-13シーズンの途中から指揮したチェルシーではヨーロッパリーグ制覇を経験。リヴァプールの時もそうだが、カップ戦に強いことはベニテスの特長だろう。その後指揮したナポリでもコッパ・イタリアを制しており、短期決戦では特別な力を発揮してくる。

ただ、リヴァプールを離れてからのキャリアは大成功とは言い難い。リヴァプール時代とは違って長期政権を築くことができず、2015年から指揮したレアル・マドリードでは大失敗を経験。そこからはビッグクラブから声がかからなくなり、ニューカッスル、中国の大連一方、そして2021年からはエヴァートンと中堅クラブを転々とするキャリアに。

ニューカッスルではチームをプレミアリーグ昇格へ導いたものの、その後プレミアリーグで披露したフットボールは地味なものだった。それは今季より指揮するエヴァートンでも変わらず、先日には下位に沈むノリッジ・シティにまで敗北。ついにエヴァートンは16日にベニテス解任を決定した。

サッカーには時代によってトレンドというものがあり、2000年代に成功を収めていた指揮官が現代では通用しなくなっているところがある。現在ローマを指揮するジョゼ・モウリーニョもそうだろう。昔はモウリーニョ率いるチェルシーとベニテス率いるリヴァプールが熱いバトルを繰り広げていたが、今は2人とも当時ほど高い評価を得ていない。

ベニテスも2000年代に比べれば存在感が薄くなっており、結果も出ていない。エヴァートンでの失敗でさらに評価は悪化することになるが、ベニテスはハイレベルな指揮官なのか。意見は分かれることだろう。

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