[西岡明彦]復帰のコウチーニョに期待 あの強烈ミドルをもう一度

プレミア最強ガイド #86

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かつてリヴァプールで輝きを放っていたコウチーニョ photo/Getty Images

 1月の移籍市場がオープンとなり真っ先に話題となったのが、フィリペ・コウチーニョのアストン・ヴィラ加入のニュースでした。かつてリヴァプールで同僚であったスティーブン・ジェラード監督からオファーを受け快諾したコウチーニョにとって、プレミアリーグの舞台はバルセロナに移籍した2018年1月以来、4年ぶりのことに。ヴィラ側がコウチーニョの現報酬の65%を負担すること、一方で財政難のバルセロナが負担すべき35%をコウチーニョが受け取らないことで、3者合意に至ったとスペイン・カタルーニャの地元メディア『TV3』が報じています。コンスタントに出場機会を得たいコウチーニョにとって、報酬ダウンはそれほど大きな問題ではないはずです。それでもアストン・ヴィラから受け取る金額は週給15万ポンドになり、チーム内でトップの報酬となりました。

 活躍次第では今夏の買取契約がオプションとして付与されており、3,300万ポンドの契約解除金が設定されているとのこと。リヴァプールからバルセロナに電撃移籍した4年前に比べると世界情勢が変化し、コウチーニョ自身が29歳となったことで当時の1億4,600万ポンドから4分の1の価値に下がりました。契約解除金の条件はアストン・ヴィラだけでなく、以前コウチーニョ獲得に興味を示したトッテナムにも適用されるとのことで、バルセロナとしては少しでも経済的な損失を補填したいと考えているようです。

 わずか4年でコウチーニョの評価は変化しました。4年前、パリ・サンジェルマンに移籍したネイマールの得点力とイニエスタの後継者として攻撃の屋台骨を支える存在としてバルサに歓迎されたコウチーニョでしたが、2つの高い要求を満たすことは簡単ではありませんでした。19年夏には期限付き移籍でバイエルンに加入したものの高い評価を得られず、1年後にバルセロナへレンタルバック。買取オプションは行使されませんでした。
 望まれない形でバルセロナに復帰した彼に待ち受けていたのは、当時のロナルド・クーマン監督による冷遇と20年1月に膝を負傷したことによる長期の戦線離脱でした。選手キャリアの先行きが見通せない状況下で、今冬かつての同僚から届いた救いの声は新たなモチベーションを生んだに違いありません。

 スティーブン・ジェラード監督は「これまで一緒にプレイした仲間の一人で、実績は言うまでもないだろう。彼のプレイや経験がクラブや選手たちに大きな影響を与えてくれるだろう」と期待を寄せています。また今季ヴィラからマンチェスター・シティに移籍したイングランド代表MFジャック・グリーリッシュも「リヴァプール時代の映像は何度も観た。僕のアイドルだった」とプレミア復帰を喜んでいます。

 リヴァプールの歴代選手で、プレミアリーグにおけるペナルティボックス外からの得点が最も多いのがジェラードで33点、次いでコウチーニョの19点です。左サイドを縦横無尽に突破するドリブルやシュートなど、かつての輝きを放ってほしいと願っています。

※電子マガジンtheWORLD265号、1月15日配信の記事より転載

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