なぜハイプレスをやめたのか モウリーニョ、痛恨の“布陣選択ミス”でユヴェントスに大逆転負け

ユヴェントス戦では、モウリーニョ監督の采配が裏目に photo/Getty Images

試合のターニングポイントは......

2021-22シーズンのセリエA第21節が9日に行われ、ローマがユヴェントスに3-4で敗れた。

ローマを率いるジョゼ・モウリーニョ監督は、この試合で[4-2-3-1]の布陣を採用。

トップ下で起用されたロレンツォ・ペッレグリーニが、ユヴェントスの2ボランチの一角マヌエル・ロカテッリを捕捉したほか、フェリックス・アフェナ・ギャンとヘンリク・ムヒタリアンの両サイドハーフも、基本布陣[4-4-1-1]のユヴェントスの両サイドバック、ファン・クアドラードとマッティア・デ・シリオに対してプレッシングを行った。
ローマのハイプレスを受けたユヴェントスは、配球力が低いもうひとりのボランチ、ロドリゴ・ベンタンクールのところへパスを誘導させられる羽目に。ローマは同選手にボールが渡った瞬間にプレスの強度を高め、ボール奪取を試みていた。

ユヴェントスのビルドアップを手詰まりにさせたローマは、11分にコーナーキックを獲得。MFジョルダン・ヴェレトゥのキックにFWタミー・エイブラハムがヘディングで合わせ、先制ゴールを挙げた。

18分に相手のトップ下、パウロ・ディバラのミドルシュートを浴びて同点に追いつかれたものの、ローマのハイプレスは概ね機能。48分にムヒタリアンがミドルシュートを、53分にペッレグリーニが直接フリーキックを突き刺し、リードを2点に広げた。

試合の趨勢がほぼ決まったかに思われたが、配球力が高いアルトゥールが64分にベンタンクールに代わって投入されたことで、ユヴェントスのビルドアップが安定。アルトゥールの存在により、それまで自陣後方でパスを散らしていたロカテッリが最前線へ上がりやすくなり、攻撃の厚みが増した。

70分に、ロカテッリが途中出場のFWアルバロ・モラタのクロスに反応して追撃の1点を挙げると、72分にはクアドラードのヘディングパスのこぼれ球を拾った途中出場のMFデヤン・クルゼフスキがシュートを突き刺し、同点ゴールをゲット。なおも攻勢を強めたユヴェントスは、77分に左サイドでのパスワークからデ・シリオがペナルティエリアへ侵入し、逆転ゴールを挙げた。

7分間で3失点を喫したローマは、81分にPKのチャンスを得たものの、ペッレグリーニのキックは相手GKヴォイチェフ・シュチェスニーに防がれ、同点ゴールを奪えず。手痛い逆転負けを喫した。

試合のターニングポイントとなったのは、モウリーニョ監督がアフェナ・ギャンを下げ、エルドル・ショムロドフを投入した71分。

ショムロドフ投入の直後、モウリーニョ監督は布陣を[4-2-3-1]から同選手を左ウイングバックに据えた[5-3-2]に変更。

自陣ゴール前のスペースを消し、ユヴェントスのパスワークを食い止めようという意図が窺えたが、後半途中まで機能していたハイプレスをやめたことで、ユヴェントスの波状攻撃を浴びる展開に。

[4-2-3-1]の布陣を継続し、アタッカー陣をベンチワークで入れ替えながらハイプレスの強度を保っていれば、少なくとも防戦一方の展開は回避できただろう。モウリーニョ監督が講じた逃げ切り策が、裏目に出てしまった一戦だった。

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