興味深い発想だ
ヌーノ・エスピリト・サントからアントニオ・コンテに監督を代え、プレミアでは好調を維持しているトッテナム。カラバオ杯ではチェルシーに力の差を見せつけられてしまったが、ヌーノ政権時から中盤での守備やカウンターの速さなど改善されている点は多く、期待できるチームになっている。
そんなスパーズだが、今冬の移籍市場では誰をクラブに加えるのだろうか。英『Daily Mail』によればウルブズのアダマ・トラオレに興味を示しているといわれており、2000万ポンド(日本円にして約31億円)で交渉を進めるようだ。スパーズは夏の移籍市場でもトラオレに興味を示しており、再アタックということになる。
ウルブズでは前線を任されており、ここまでプレミアトップの数字である81回のドリブルを成功させている。しかし、そこからのフィニッシュが残念な選手であり、今季は未だゼロゴールだ。そんな選手に約31億円の移籍金を払うのはリスクが大きく、何よりスピードとテクニックに秀でたドリブラーはスパーズに大勢いる。ソン・フンミンをはじめルーカス・モウラ、ステーフェン・ベルフワイン、ブライアン・ヒルと既に渋滞気味だ。そこで得点に絡めない選手を獲得するのは悪手だといえるが、コンテ監督には別の視点があるようだ。
報道ではトラオレはFWではなく、右ウイングバックで起用される可能性があるとのこと。スパーズは[3-5-2]を採用しており、現在はエメルソン・ロイヤルが右WBを担当している。しかし、控えとなるマット・ドハーティはここまで目に留まるパフォーマンスを披露できておらず、放出候補となっている。そこで推進力のあるトラオレをコンバートしようというわけだ。
コンテはこの手のコンバートを得意としている。2016年から2018年にチェルシーを率いた同監督だが、このチームではウインガーだったヴィクター・モーゼスをWBに転向させ、チームに欠かせない存在として重宝されていた。確かにモーゼスとトラオレの特長は似ている点が多く、面白いコンバートになる可能性は高い。現在は伸び悩んでしまっているプレミアのドリブルキングは持ち前のスピードを生かしコンテのもとで素晴らしいWBとなるのだろうか(データは『SofaScore』より)。