古巣ラツィオに惜敗も…… S・インザーギの知略はインテルを“更なる高み”へと導きうる

今夏にインテルに赴任したシモーネ・インザーギ監督。シーズン序盤にして、多彩な戦術を植え付けている photo/Getty Images

ラツィオのハイプレスを手玉に

昨季までラツィオを率い、今夏にインテルに赴任したシモーネ・インザーギ監督。16日に行われたセリエA第8節で古巣ラツィオに1-3で敗れたものの、緻密な戦術で自チームを掌握していた。

マウリツィオ・サッリ新監督のもと、[4-1-2-3]の布陣を基調としているラツィオに対し、インザーギ監督擁するインテルはエディン・ジェコとイヴァン・ペリシッチを2トップに据えた[3-1-4-2]の布陣で応戦。

ラツィオはルイス・フェリペとパトリックの2センターバック、アンカーのルーカス・レイバを起点に自陣後方からパスを繋ごうとしていたが、2センターバックがインテルの2トップによるマークに遭い、効果的なパスを繰り出せず。加えてインザーギ監督がアンカーのマルセロ・ブロゾビッチをハイプレスに組み込み、同選手にレイバを捕捉させたため、ラツィオの流麗なパスワークは鳴りを潜めた。

11分には、GKサミール・ハンダノビッチとDFアレッサンドロ・バストーニを起点に自陣ペナルティエリアからテンポ良くパスを繋ぎ、ラツィオのハイプレスを回避。

自陣左サイドでボールを受けたウイングバックのフェデリコ・ディマルコが逆サイドへロングパスを送ると、ボールは右ウイングバックのマッテオ・ダルミアンのもとへ。ダルミアンからのパスを受けたニコロ・バレッラが相手DFエルセイド・ヒサイに敵陣ペナルティエリア内で倒され、PKを獲得すると、ペリシッチがキックを成功させた。

フェリペ・アンデルソン、チーロ・インモービレ、ペドロ・ロドリゲスの3トップを起点とするハイプレスは今季のラツィオの基本戦術だが、これに対するインザーギ監督の備えは万全だった。

PK獲得に繋がった11分のビルドアップでは、自陣ペナルティエリアの両脇にミラン・シュクリニアルとバストーニの両センターバック、ペナルティエリアの手前に3センターバックの真ん中を務めるステファン・デ・フライと、アンカーのブロゾビッチが立ったことで、ラツィオの3トップが中央で釘付けに。ディマルコとダルミアンの両ウイングバックが、フリーでボールを受けやすい状況を作れていた。

ラツィオのハイプレスを空転させたディマルコのロングパスも然ることながら、相手の守備戦術を理解したうえで、それを凌駕するためのパスワークの段取りを自軍に落とし込んだインザーギ監督の手腕は、特筆に値する。前述の先制ゴールは、同監督の知略の賜物と言えるだろう。

インテルはその後もラツィオのパスワークを封じ、試合の主導権を握っていたが、62分にバストーニが自陣ペナルティエリア内でハンドの反則をとられたうえ、インモービレにPKをものにされ失点。

81分にはディマルコが負傷によりピッチ内で倒れ込んでいる最中にラツィオの速攻を浴び、アンデルソンに逆転ゴールを奪われると、後半アディショナルタイムに相手MFセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチにフリーキックからダメ押しゴールを決められ、勝負あり。不運な形での連続失点が、今季のリーグ戦初黒星に繋がってしまった。

もったいない形で敗北を喫したインテルだが、インザーギ監督のもとでビルドアップの安定感が増し、今季のリーグ戦8試合消化時点で、早くも23ゴールを挙げている。かつてはラツィオのFWとして得点を量産し、今やイタリア屈指の戦術家として名を馳せている45歳の彼が、昨季のセリエAを制したインテルを更なる高みへと導くかもしれない。

記事一覧(新着順)

最新号を無料配信中!
電子マガジン「ザ・ワールド」
No.263 監督で観る欧州蹴球

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:コラム

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ