[水沼貴史]冨安がアーセナルに安定感をもたらした! トッテナムとのダービーは「リスク管理」が鍵だ

水沼貴史の欧蹴爛漫059

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今夏にボローニャからアーセナルへ移籍した冨安 photo/Getty Images

周りの選手を動かすことのできる能力

水沼貴史です。欧州の各国リーグが開幕してから、早くも1カ月以上が経ちました。この間にもさまざまな話題がありましたが、やはり外せないのが今夏にアーセナルへ移籍した日本代表DF冨安健洋の活躍ではないでしょうか。現地時間26日には、アーセナルとトッテナムのノースロンドンダービーも控えています。そこで、前回から引き続きアーセナルの話にはなってしまいますが、今回は冨安に関して少々お話ししたいと思います。

まず、ここまでリーグ戦2試合に出場した冨安ですが、一言で言うのであれば「素晴らしい」に尽きると思います。チームに安定感をもたらしていますし、一般的なサイドバック像とは少々異なるタイプかもしれませんが、攻撃面でも起点になったり、インサイドへ入ってプレイしたり、すごく機能しているように感じます。冨安が後ろを安定させることで、トーマス・パルティやエミール・スミス・ロウ、マルティン・ウーデゴーといった前にいるタレントたちも非常にプレイしやすくなっているのではないでしょうか。

デビュー戦となったノリッジ戦の立ち上がり10分間ぐらいは、ベン・ホワイトあたりがパスを渋るような仕草を見せることもありました。ただそれぐらいで、すぐに周囲の信頼を勝ち取り、続くバーンリー戦では最多のタッチ数を記録していました。普通にボールが経由されるようにもなってきています。まだ2試合しかプレイしていないにもかかわらず、自分の考えや思ったことをしっかり伝え、周りの選手を動かすことのできる、活かすことのできる能力もすごいと思いました。これはボローニャ時代から培ってきたものでしょう。試合後にチームメイトたちが冨安を称えに行く姿やチームの雰囲気などを見ても、彼への信頼の厚さがわかります。

相手のレベルが違うとはいえ、3連敗した後にチームへ加わり、難しい状況の中から2連勝。冨安は空中戦の強さやカバーリング、サイドの1対1でも簡単にクロスを上げさせないなど、しっかり存在感を発揮し、2試合連続クリーンシートに貢献しています。アルテタ監督は初っ端から冨安に厳しめのタスクを課しているように見えますが、それは選手を信頼しているからこそ、冨安が高い能力を持っているからこそだと思います。チームを安定させることで結果にも繋がってしますし、非常に良いスタートになっているのではないでしょうか。

今やアジア人No.1選手となっているソン・フンミンを冨安は抑えられるか photo/Getty Images

冨安にとって移籍後初の大一番

そして、次節はトッテナムとの大一番。私個人としても、この試合を非常に楽しみにしています。チーム状況としましては、アーセナルは3連敗からの2連勝で若干上り調子、一方のトッテナムは3連勝からの2連敗と下り調子と正反対です。もちろん、相手はビッグクラブですし、ましてやお客さんたちもスタジアムに戻ってきてのダービーでもありますので、ホームでの戦いですが新加入選手にとってはやりづらさはあると思います。試合の雰囲気なども、これまで経験したことのないようなものになるでしょう。ただ、相手が調子を落とし気味のこの状況は、冨安にとっては大きなチャンスなのではないでしょうか。この試合の結果次第では、良い意味でも、悪い意味でもこれまで以上に大きく評価が変わるかもしれません。緊張もあるでしょうが、楽しんで欲しいですね。

この一戦でまず求められるのは、やはり守備の部分だと思います。これまでの2試合は失点「0」できていますし、相手を抑えられれば負けはありませんからね。ピッチでは、ケインやソン・フンミンらとマッチアップすることになると思います。いろんなタイプのアタッカーと相見えることになりますが、ケインが外に張ってきたり、ソン・フンミンがドリブルで仕掛けてきたり、これまでの2試合とは違う局面がたくさん出てくるでしょう。トッテナムは早い攻撃を仕掛けてきますし、冨安がどれだけリスク管理をしながらプレイできるのか見ものです。ただ、センターバックでのプレイ経験も豊富な冨安にとって、リスク管理は真骨頂でもありますからね。結果を残して欲しいです。

アジアNo.1選手のソン・フンミンとのアジア人対決。実績的には、マンチェスター・ユナイテッドなどでプレイした元韓国代表MFパク・チソンも抜いたでしょうし、非常に厳しい相手だと思います。彼を止められるかどうかで、日本人選手の価値も変わってくるかもしれません。冨安自身の価値を上げるためにも、頑張ってもらいたいです。そして、アーセナルにはリスク管理を徹底しながら、テンポよく攻めて勝利を手にして欲しいですね。

それでは、また次回お会いしましょう!

水沼貴史(みずぬま たかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。YouTubeチャンネル『蹴球メガネーズ』などを通じ、幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。

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