みなさん、“ミトマ・ロス”や“アオ・ロス”に陥っていませんか? 三笘選手の相手を置き去りにするキレキレのドリブル。アオ選手(田中碧)のボール奪取からの展開力など、サポーターを盛り上げていたプレイが近くでみられなくなりました。正直、いまボクは両名がいなくなった寂しさを感じています。
だからといって、2人がいなくなったことで引分けが多くなっているとはまったく思っていません。アウェイでの連戦、ケガ人の続出などがありました。これまではフロンターレが強すぎましたが、このタイミングで他チームも盛り返してきました。忘れてはいけませんが、他チームにもよい選手がたくさんいます。いろいろなことが重なり、これからの一試合一試合がとても楽しみな状況になってきましたね。
連戦連勝だったときのフロンターレとはまた違った姿がみられると思います。逆に、多くの見どころがあるなと感じていますよ。宮城選手のように、出場機会が増えてくる若手が多くなってくるでしょう。より多くの選手がフォーカスされることになると思います。
実戦で経験を積まないと、選手は育ちません。練習試合や紅白戦よりも、公式戦のピッチに立ったほうが得られるものは多いです。いまのフロンターレは新しい選手たちが次々に登場しているので、また新たな選手が必ず台頭してくるはずです。
完成度を高めてきたパス・サッカーについても、対戦する相手が十分な対策を取ってくることで強みやよさを出せない場面が続いています。サイドから中央へパスを入れるときの動き、攻撃への人数のかけ方などが研究され、攻撃を抑えられています。この“フロンターレ封じ”を越えるべく、もう一段階上のサッカーに到達してほしいです。そのためには、やはり新たな選手の力が必要です。
フロンターレはまだまだ「完全体」ではありません。というか、チーム作りに終わりはないですね。どんな選手が出てきて、どんなチームへと進化していくのか。これから、また違ったフロンターレの顔がみられるはずです。いまは新しい選手が馴染んでいるところで、進化の途中でどんな顔がみられるか、とても楽しみにしています。
苦しいチーム状況ですが、新鮮な風が吹いてきたなと感じています。登里選手、脇坂選手といった中堅選手には、若手が臆することなく力を発揮できるように、悠や家長選手といったベテランとの間をつなぐ存在となってチームを引っ張ってほしいです。
構成/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD261号、9月15日配信の記事より転載