[MIXゾーン]“シモーネ・インテル風”サッカーで浦和と好勝負 ベルマーレ3戦負けなしの要因は

今夏にベルマーレに復帰して以降、自軍のサイド攻撃を活性化させている杉岡 photo/Getty Images

攻守の形が整った好チームに

29日に行われた明治安田生命J1リーグの第27節で、浦和レッズと0-0で引き分けた湘南ベルマーレ。直近のリーグ戦3試合連続で勝ち点を得たことで、J2リーグ降格圏の17位徳島ヴォルティスとの勝ち点差を“3”に広げている。

ベルマーレの浮嶋敏監督は試合後のオンライン会見で、自軍のパフォーマンスを総括。攻守両面において手応えを口にした。

「守備については全員でしっかりとコントロールして、相手にやりたいことをさせないためのプレスをテーマにしてやった結果、危ない場面でも体を張って防いでくれました。前回対戦した時(第18節)に2点決められたユンカーに対しても、カウンターの対応や流れの中からの抑え込みができていました。守備は非常に良かったと思います。(攻撃面では)ボールが縦に入った後、3人目の選手が前を向いたあとに(ボールを)展開して、展開した後も前に出ていく攻撃が随所にありました。そういったところを得点に結びつけられればもっと良かったのですが、攻撃の仕掛けに関しては距離感が良かったからこそ、そういうコンビネーションが多かったと思います」
レッズの基本布陣は[4-2-3-1]で、槙野智章とアレクサンダー・ショルツの2センターバック間にボランチの平野佑一や伊藤敦樹、もしくはトップ下の小泉佳穂が自陣後方へ降りてビルドアップに関与。自陣ゴール前で数的優位を作りながら、パスワークで相手選手を釣り出そうとしたが、ベルマーレが[5-3-2]の守備隊形で自陣へ下がり、センターサークル付近からプレスをかけ始める守備も織り交ぜたため、中盤や相手ゴール前がなかなか空かず。特に前半は攻撃が手詰まりになった。

マイボール時に自陣後方で数的優位を作ろうとするレッズに対して、漫然とハイプレスを仕掛ければ、パスワークでいなされる可能性がある。ハイプレス一辺倒で戦わず、状況に応じて自陣バイタルエリアや中盤のスペースを消すことを優先した点が、ベルマーレの勝ち点奪取に繋がったと言えるだろう。

また、この試合でも3センターバックの両脇で起用された石原広教と杉岡大暉が、果敢なオーバーラップで自軍の攻撃を活性化。2トップと2インサイドハーフが近い距離感を保っての中央突破も効果的で、41分にはタリク、大橋祐紀、茨田陽生の3人による小気味良いパスワークからチャンスを作った。

直近のリーグ戦3試合のベルマーレの戦術は、シモーネ・インザーギ監督が率いるインテルと似ている。[3-1-4-2]と[3-4-2-1]の2つの布陣をベースにしている点、3センターバックの両脇の選手やアンカーの果敢な攻め上がり、戦況に応じて使い分けるハイプレスと自陣への撤退、敵陣バイタルエリアでの少ないタッチ数でのパスワークなどが共通点で、このサッカーはレッズ相手にも通用していた。

攻守の形が整ってきたベルマーレの今後の課題は、ラストパスやクロス、シュートの精度を上げることだろう。訪れた決定機を物にできるかが、J1リーグ残留の成否を左右しそうだ。

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