2020-21シーズン、イングランド・プレミアリーグで最も高い評価を得なセンターバックといえば誰か。おそらく、多くの人が挙げるのはマンチェスター・シティの優勝に大きな貢献を果たしたポルトガル代表DFルベン・ディアスだろう。傑出したパフォーマンスでシチズンズを頂点へと導いた守備者は、文句なしに2020-21シーズンのプレミアを象徴するCBだったと言っていい。
しかし、R・ディアスのインパクトが強すぎたせいもあり、そのほかのCBにはなかなか焦点が当たらなかったのではないだろうか。そのなかでも、注目したいのはマンチェスター・ユナイテッドの2位フィニッシュに貢献したイングランド代表DFハリー・マグワイアだ。
2019年夏にDF史上最高額となる移籍金で加入した同選手。その移籍金の高さも相まって移籍初年度は厳しい試験を向けられることもあったが、2020-21シーズンの彼は守備陣の要として存分にその力を発揮したといっていい。リーグ戦34試合の出場で記録した空中戦勝率75.84%は、プレミアでプレイするDF中トップの数字だった(データサイト『SofaScore』より)。
こうした数字を見ても、プレミアトップクラスのパフォーマンスを披露していたことがわかるマグワイア。では、彼とR・ディアスの間にある評価の差は何が原因なのか。やはり、一番大きいのはタイトルの有無だろう。今後マグワイアが世界最高のCBを目指すのであれば、“チームを優勝させた”という実績は欲しいところだ。
「マグワイアはまだ進歩しているが、彼が世界最高レベルと認められるにはトロフィーを獲得しなければならない。ただ、プレイ面でのバランスは非常に良いと思うよ。すべてが10点満点中8点を叩き出していると思う。オン・ザ・ボールでのプレイやスピードはリオ・ファーディナンドほどには見えないし、タックルは私の方が上な気もするけど、彼はそのどちらも一定のクオリティを備えている。あとは本当にタイトルだけだと思うね」(英『The Athletic』より)
かつてマンUでプレイしたネマニャ・ビディッチ氏も、マグワイアが周囲から認められるためにはタイトルが必要とこのように語っている。クラブレベルでこそないものの、イングランド代表の一員として決勝に進出したEURO2020で優勝を飾ることができれば、今後マグワイアの評価も変わってくるか。
周囲の見る目を変えるためにも、どこかでビッグタイトルを獲得しておきたいマグワイア。はたして、マンUの番人が“世界最高のCB”として認識される日はやってくるか。実力派DFの評価がもう一段階上の領域に到達する瞬間は、多くの人が待ち望んでいるはずだ。