怪我に泣かされるキャリアを送ることとなっているものの、アーセナル時代にMFジャック・ウィルシャーが見せた輝きは間違いなく本物だった。これまで数多くの優秀な選手を輩出してきた同クラブのアカデミーだが、彼はその長い歴史のなかでも一、二を争うほどの逸材だったと言っていい。
しかし、アーセナル・アカデミーの“最新作”は、そんなウィルシャーをも超える逸材なのかもしれない。現在U-18カテゴリでプレイするレフティーに対する周囲に期待は凄まじい。ウィルシャーと同じくルートン・タウンとアーセナルのアカデミーを経て、トップの世界に飛び込もうとしている17歳。その名はチャーリー・パティーノだ。
すでにトップチームのトレーニングに何回か招集された経験も持つパティーノ。高いパス精度と視野の広さを武器に、同選手は中盤からのゲームメイクやチャンスの創出を得意としている。特にプレス回避能力には目を引くものがあり、ちょっとした体重移動だけで相手の猛烈なチャージを躱してしまうプレイも散見される。まさに軽やかという言葉がピッタリの選手だろう。広い視野と冷静かつ的確な状況判断ができるという点で、ますます“NEXTウィルシャー”としての期待は高まるばかりだ。
そんなパティーノのプレイは、現地におけるアーセナル番の記者たち間でも話題となっている。同選手の備える才能を「ウィルシャー以上かも」と評価するのは、英『football.london』のアーセナル担当記者であるチャールズ・ワッツ氏。同氏はアカデミーで最初にウィルシャーを見たときよりもパティーノの方が衝撃は上と次のように語る。
「チャーリー・パティーノはアーセナルの下部組織出身選手のなかで、次にビッグとなる存在だと思う。数年後にはトップで定位置を掴んでいるはずだ。彼のプレイを見るたびに、私の心は動かされている。一緒に取材をしている他メディアの記者も同じことを言っていたよ。記者の間ではかなりの評判だね。ウィルシャーをも超える才能を持っているかもしれない。本当にエキサイティングな選手だよ」
MFダニ・セバージョスの今夏レンタルバックも噂されるなか、パティーノがその代役として来季中盤で頭角を現すシナリオも考えられる。まだ17歳と侮ることなかれ。もしかすると、このティーンエイジャーは現在トップチームで活躍するMFブカヨ・サカ(19)にも匹敵する勢いでアーセナルの中心へ躍り出ることとなるかもしれない。