“ナーゲルスマン・ロス”の被害は甚大 ライプツィヒに忍び寄るチーム崩壊の恐れ

来季バイエルンの指揮官就任が噂されているライプツィヒのナーゲルスマン監督 photo/Getty Images

優秀な青年監督を慕って加入した選手は多い

2020-21シーズン、ブンデスリーガで目覚ましい快進撃を見せるRBライプツィヒ。ここ数年で急成長を遂げた新興勢力の奮闘に興奮している人も多いだろう。リーグ戦31試合を終えて、現在は首位バイエルン・ミュンヘンに次ぐ2位につける同クラブ。その差は7ポイントあるものの、来季以降に向けて今季の戦いぶりは十分に希望が持てるものとなっている。

しかし、そんなライプツィヒに心配なニュースが飛び込んできた。なんと、チームを指揮するユリアン・ナーゲルスマン監督が、来季バイエルンの新指揮官に就任することが発表されたのだ。かねてより欧州屈指の若手指揮官として注目される存在だっただけに、いつかビッグクラブに引き抜かれるのではとの懸念はあった。クラブも就任当初からその可能性は考えていたことだろう。とはいえ、ようやくチームが軌道に乗ってきたタイミングで、それもブンデスで優勝を争うライバルが手を出してくるとは……。ファンからしてみれば、たまったものではないはずだ。

加えて、ナーゲルスマン監督がクラブを去ることとなった来季、ライプツィヒが受ける被害は想像以上のものとなるかもしれない。最悪の場合は、チームが崩壊してしまう危険性もあるだろう。近年欧州の優秀な若手を次々と確保していた同クラブだが、そのほとんどはナーゲルスマン監督の指導を受けたくて集まってきた選手たちなのだ。実際、昨夏から移籍決定時のコメントで「ナーゲルスマンが監督をしていることが決め手だった」と語っていた選手は少なくない。
「ナーゲルスマンのおかげで僕は居場所を見つけることができた。だから、このクラブに戻ってきたのさ」(アンヘリーニョ)

「僕がライプツィヒに来ることを決めたのは、ナーゲルスマンがいたことが大きい」(ジャスティン・クライファート)

「移籍を決める前、監督としっかり話をしたんだ。そのなかで、僕をどう戦力として考えているかの話を聞いた。そのプロジェクトに感銘を受けたから僕はライプツィヒに来たのさ。ユリアンが監督でなかったら、どうなっていたかはわからなかった」(アレクサンダー・セルロート)

「イタリアのチームとも交渉したんだけど、マルクス(・クレシェSD)とユリアンから直接電話をもらったからこのクラブに来た。彼らが実践しているプロジェクトを、とても魅力的に感じたんだ」(ダニ・オルモ)

「他にもいくつか候補はあったが、ナーゲルスマンの下でならもっと良い選手になれると思ったんだ」(ドミニク・ショボスライ)

このほか、来季アヤックスから加入することが決まっているFWブライアン・ブロビー(19)も、加入決定時には「ナーゲルスマンは若く、優秀な監督だ。彼の下で多くのことを学べるのが楽しみだよ」とのコメントを残している。これだけの選手が移籍先決定の理由にナーゲルスマンの名前を出しているとなると、さすがにその影響力の大きさは窺える。同監督の存在が移籍理由のすべてというわけではないはずだが、彼らがクラブ選びに際して指揮官の存在を重要視していたことは間違いない。

もちろん、移籍してきた途端に指揮官が変わるというのはサッカー界でよくある話。しかし、ナーゲルスマンほどのカリスマ性を持った監督が去ることによって、モチベーションが低下する選手も少なくはないだろう。独『Sport Buzzer』も、これについては現地時間25日付の記事内で「ナーゲルスマンが去れば、ライプツィヒの選手たちに悲壮感が漂うのは間違いない。こういった事象はプロとして受け入ればければならないものだが、どうしても耐え難い選手は数年のうちに別のクラブを求めることになるかもしれない」との見解を示している。ただ単に優秀な指揮官を失うのとはワケが違う。そう言って差し支えないか。

良い形でシーズンを締め括ろうとしているタイミングで、ライプツィヒを襲った“指揮官引き抜き問題”。はたして、クラブはこの問題をどう解決しにかかるのか。ナーゲルスマンを失ったことで、大きな影響が出なければいいのだが……。

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