冨安、今夏のステップアップは不可避? “非売品”との報道もあるが……

様々なクラブが熱視線を送り、今夏の去就に注目が集まる冨安 photo/Getty Images

放出“せざるを得ない”状況も

MF伊東純也(ヘンク)やFW鈴木優磨(シント・トロイデン)、DF板倉滉(フローニンヘン)など、今夏の移籍市場においてステップアップが期待される欧州のサムライたちが何名かいる。その中でも最も期待されている選手が、セリエAで存在感を放つボローニャの日本代表DF冨安健洋だろう。

現在22歳の冨安は、2019年夏にシント・トロイデンからボローニャへ移籍した。セリエAでは本職ではない右サイドバックを主戦場として脚光を浴び、そのユーティリティ性やデュエルの強さ、パスセンス、安定感で、ビッグクラブも熱視線を送る存在に。2年目の今季も、フィールドプレイヤーとしては唯一第23節までフル出場を果たしたことで注目を浴び、ボール奪取回数も負傷離脱するまでリーグトップだった(現在は7位)。

こういった活躍もあってか、イタリアの名門ACミランをはじめ、イングランドのエヴァートンやドイツのレヴァークーゼンなど、国内外の様々なクラブが獲得に動いているとされる。ボローニャのディレクターを務めるワルテル・サバティーニ氏も、具体的なクラブ名は口にしなかったのの、「トミヤスには多くのクラブから問い合わせが来ている」と明かしていた。インテルの長友佑都、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司、ミランの本田圭佑、レアル・マドリードの久保建英、リヴァプールの南野拓実らに続く、ビッグクラブへの移籍の可能性を秘めていることもあり、冨安のステップアップにワクワクしている日本のファンも少なくないのではないか。
ただ、ボローニャからしてみれば、冨安は是が非でもチームにとどめておきたい存在。チームの指揮官を務めるシニシャ・ミハイロビッチ監督も、25日に0-5の大敗を喫したアタランタ戦後に負傷離脱中の冨安の不在を嘆いており、ボローニャにとっていかに重要な選手であるかを口にしている。また、いくつかの地元メディアも以前、冨安がボローニャにとって「非売品」であることを取り上げていた。

しかし、コロナ禍によるクラブの経営状況や12位に低迷しているチーム状況などを踏まえて現実的に考えると、ボローニャは一定の資金を確保できるであろう冨安を今夏に放出“せざるを得ない”状況となってしまうかもしれない。先日、クラブのオーナーと会談を行ったとされるミハイロビッチ監督は、アタランタ戦後に今夏の動向について次のようなコメントも残していたのだ。

「理想的な世界であれば、私は選手たちを維持し、ストライカーとディフェンダーを獲得したい。ただ、オーナーはそれは不可能だと言っていたね。パンデミックにより、選手を売らなければならないことも理解している。承知もしているよ。買いたいと思っている選手はいないので、少なくとも現在のチームを維持したいと願っているんだけどね。でもそうなるとも思えないよ。オーナーともう一度会わないといけない。それからどうなるか見てみよう」

はたして、今夏に激しい争奪戦が繰り広げられる可能性もある冨安の去就はいかに。

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