右での成長がサネの新しい道か パリ戦で見えた右サイドでの手詰まり感

不発に終わってしまったサネ photo/Getty Images

スタッツでは高評価も……

ロベルト・レヴァンドフスキを欠いているとはいえ、強力な攻撃陣を持っているバイエルン・ミュンヘンだが、14日に行われたバイエルン対パリ・サンジェルマンの一戦では結局、1点しか取れず、次のステージへ進むことは出来なかった。

こうなった要因はいくつかあると思うが、その一つにウインガーの物足りなさを挙げたい。特に右のリロイ・サネだ。データサイト『WhoScored.com』によればこの試合チームトップのドリブル成功数「7」を記録、シュートも3本放っており、試合終了後の評価では両チーム通じてトップの「8.1」の高評価を得ているサネ。

スタッツだけを見れば非常に優秀だが、効果的な攻撃だったのかと考えると、少し疑問が浮かんでしまう。右サイドでの先発だったサネだが対峙するアブドゥ・ディアロに苦戦しており、完璧に抜き去ってチャンスメイクするシーンは見られなかった。抜かなくてもスルーパスやシュートは打てるが、どうしてもコースを限定されてしまうと得点に直結させるのは難しくなってしまう。完封とまではいかないが、サネはディアロに抑えられていたと考えていいだろう。

後半、パリにアクシデントがあり、左サイドバックがミッチェル・バッカーに交代となった。前述した通り、サネはディアロに抑えられており、効果的なプレイができていなかったためこの交代は膠着した状態を崩せるかに思われたが、決定的な仕事をするには至らなかった。

このようにパッとしなかったのはサネのプレイスタイルが関係していると言える。基本的にサネは足元で受けるため、ディフェンスが寄せやすい。更にキリアン・ムバッペやモイーズ・キーンといった前線の選手も積極的に守備に降りてきていたため、正面突破が難しくなっていた。残る選択肢は左足でのカットインとなるが、パリが中央に人を固めているため、うまく好機を作れずにいた。左に回れば縦への突破から中央への折り返しができるため、選択肢が増えてやりやすいが左は現状コマンのポジションとなっている。

ポジションの入れ替えを視野に入れることは可能性としてはアリだが、右でのプレイスタイルの幅を増やすことも必要となってきそうだ。右でも縦突破から中央に折り返すスタイルを確立すれば、選択肢が増えて左足でのカットインがより強力なものになるだろう。また、サネは足元で受ける回数が多いためオフザボールの動きを増やして裏抜けや他選手とポジションを入れ替えてみると、守備側も守りにくいはずだ。持っている才能は大きいだけに、試行錯誤を繰り返して欲しい。

前所属のマンチェスター・シティでは左での起用が多く、右で使われた場合はこの試合と同じような出来となっていた。背番号10を背負い、クラブからのプレッシャーは大きいが、今後の成長は必須となっている。

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