なぜ関根がそこに? 中央に穴を開けた浦和レッズのデザインされたセットプレイ

関根のゴールで徳島に勝利

浦和レッズがホームで徳島ヴォルティスを迎えた一戦は、CKからの得点を守り切った浦和が1-0で勝利した。両GKの好守も目立ち、互いに均衡を破れない展開が続いたが、勝負を決めたのは、浦和のデザインされたセットプレイだった。

得点は60分に生まれる。浦和は左からのCKを得ると、小泉佳穂がボールをセットする。近くに寄ってきた山中亮輔に短いパスを送ると、すぐさまゴール前へクロスを供給。そのボールに飛び込んだ関根貴大が頭でネットを揺らし、先制点を奪った。

なぜピッチ上の浦和の11人の中で、167cmと最も身長の小さい関根がCKから得点を決めることはできたのか。そこには浦和の綿密な策が施されていた。小泉がボールをセットしたとき、浦和の選手は武藤雄樹以外は、ゴールより遠くペナルティアーク周辺に集まっていた。これにより、徳島の守備陣を後方に密集させる。
そして山中へとボールが渡った時に飛び出した浦和の選手は、得点を決めた関根に明本考浩など、チームでは比較的身長の低い選手たちだった。また同じように飛び出した西大伍や伊藤敦樹などの長身選手は、あえて中央から外れて真ん中を開けるように動く工夫が見られた。

結果的に前節CKから得点した岩波拓也や槙野智章などは、最後までペナルティアークに残っていた。セットプレイでは得点源となる選手たちをあえて飛び込ませず囮に使う。それによって徳島守備陣の中央に大きく穴を開けさせたプレイがこの試合唯一の得点を生み出し、浦和に勝ち点3をもたらした。

今季の浦和は流れからの得点こそ少ないものの、8得点中CKからの得点が「3」とゴールパターンも多くを占めている。今季からは分析担当コーチに林舞輝氏、同担当テクニカルコーチに守屋優馬氏が就任。徳島のCKの守備の綻びを突いた攻撃には、彼ら分析担当の存在も大きいだろう。

試合の流れに関係なく得点の機会を生み出せるセットプレイ。スタイルを再建中のチームにとって、セットプレイからの得点は大きなアドバンテージになる。次節以降、浦和はどのようなCKやFKを見せてくれるのか注目だ。

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