2020-21シーズンのイングランド・プレミアリーグにおいて、ダークホース的な存在となっているウェストハム。これまで「選手は揃っているが、なかなか上位に食い込めない」との評価も多かった同クラブだが、今季はデイビッド・モイーズ監督の下でその確かなクオリティを存分に発揮することとなっている。
ここまでリーグ戦30試合を終えて、順位は3位レスター・シティと4ポイント差の4位。まだ予断を許さない状況ではあるものの、この調子で快進撃を続けることとなれば来季チャンピオンズリーグ出場権を獲得することも十分に可能だろう。
しかし、シーズンも最終盤に突入する今、そんな好調ウェストハムに緊急事態が発生している。開幕から第29節までリーグ戦全試合に出場してきたイングランド代表MFデクラン・ライスが、膝の負傷でしばらく戦線を離脱することとなってしまったのだ。英『BBC』によると、復帰までには4週間程度を要する見込みとのこと。守備的MFの絶対的存在として今季の快進撃を支える存在だっただけに、この離脱はウェストハムにとって間違いなく痛手だ。
ライスがこの予想通りに離脱を強いられることとなれば、復帰は第35節のエヴァートン戦(現地時間5月8日)あたりということになる。それまでに予定されているリーグ戦は4試合。トップ4入りを目指すうえでは間違いなく重要な期間となるだけに、イングランド代表MFが不在のなかで守備の強度が保てるかは懸念事項だ。この期間でウェストハムはレスター・シティやチェルシーとの対戦も控えており、不安はつきない。
「ウェストハムにおけるライスは、チェルシーにとっての(エンゴロ・)カンテのような存在だった。中盤の深い位置で目を光らせ、チームに多大な影響をもたらすことができる。リヴァプールのファビーニョにも例えることができるね。中盤における彼と(トマシュ・)ソウチェクとの関係は完璧だった。ソウチェクが攻撃面で違いを生み出すことができているのは、間違いなくライスの貢献によるところも大きかった。ウェストハムにとっては大きな打撃となってしまうだろうね」(英『talkSPORT』より)
かつてチェルシーなどでプレイしたトニー・カスカリーノ氏も、ライス離脱の影響はウェストハムにとって甚大なものだとこのように語っている。現地時間5日に行われたウォルバーハンプトン戦にこそなんとか勝利(3-2)したものの、トップ4入りに向けての正念場を重要人物抜きで乗り切らなければならなくなったウェストハム。はたして、今季プレミアで快進撃を披露する中堅クラブはこの危機をどう乗り越えていくのだろうか。チームの底力が試される。