21日に行われた明治安田生命J1リーグの第6節、柏レイソルはホームで清水エスパルスと対戦した。ここまでリーグ戦5試合を戦って1勝4敗と大きく負けが先行している同クラブ。これまで上位勢との対戦が重なっていたこともあるが、流れは確実に悪い。柏としてはここで1勝を収めて、勢いに乗りたいところだった。
しかし、試合開始から主導権を握ったのは清水だった。柏はこの試合で主軸となるMF江坂任やFW呉屋大翔をベンチメンバー外とし、FW細谷真大やMFイッペイ・シノヅカを前線に配する新たな試みにチャレンジするも、前半はこの形が全く機能せず清水に2点のリードを献上する展開に。清水の早い寄せに後れを取ってしまうシーンも散見され、柏は“最悪”といっても過言ではない形で試合を折り返すこととなってしまった。
とはいえ、後半には今後に向けての希望も見えた。その希望とは、ハーフタイム明けから試合に投入されたFW神谷優太の存在だ。この清水戦で今季初のベンチ入りを果たした同選手は、投入直後から持ち前の積極性を前面に押し出したスタイルで柏攻撃陣を牽引。66分には、相手バイタルエリアで起点となった細谷を追い越す動きを見せながら、巧みなフィニッシュで得点を記録した。結果的にチームは1-2で敗戦を喫してしまったものの、躍動する神谷の姿に光明を感じたファンも少なくはなかったことだろう。今季の柏は前線に変化をつけることができる選手が少ない印象もあっただけに、果敢な仕掛けを見せる神谷の存在は貴重だ。
「まず流れを変えることを意識していました。ここ数試合勝てていなかったなかで、雰囲気を変えようと意識していましたね。そういったなかで味方が良いパスをくれてゴールを決めることができたので、本当によかったと思います」
「僕がチームを外から見ていて思ったのは、全体の流動性が少なかったということです。ですので、(自分が投入されることによって)その部分の要素を取り入れたかったですし、右サイドの関係をより増やしたいと思っていました。もっと良くなるとは思いますけど、良いボールの動かし方はできたのかなと思います」
試合後、神谷はこのように語る。本人も自身のどんなプレイがチームに求められているのかは理解している様子だ。これまでなかなか試合に絡めず、外から仲間たちのサッカーを眺める機会があったのも大きいのだろう。加えて、神谷は現在チームの課題となっている部分についても、次のように話す。
「ボールを持つ意味を考えなければならないと思っています。ただ持っているだけではなくて、どれだけゴールに結びつけることができるか。そういうボールの動かし方が大事かなと。後半は距離感を近づけて全員でボールに触ろうとする意識が強かったと思うので、それが良い距離感になればもっと良くなると思います」
この清水戦でリーグ戦4連敗を喫することとなってしまった柏。しかし、前節のマテウス・サヴィオに続いて、彼らにはまたも頼もしい男が帰ってきた。これまでは江坂に頼ることも多かった攻撃陣だが、M・サヴィオや神谷は巻き返しのキーマンとなれるか。