[MIXゾーン]ホーム開幕戦の京都 チョウ監督に求められた“湘南時代とは違う引き出し”

チョウ監督は今季どのようなマネジメントを見せるか(写真はイメージ) photo/Getty Images

J2京都では立場が違う

 6556人の観衆を集めたホーム開幕戦。悲願のJ1昇格を目指す京都は難敵松本を迎え撃った。京都はチョウキジェ監督が就任し、様々な過去の経緯があることから結果が出ないとすぐに外野が騒ぎ出すということにもなりかねない。そのためにも開幕ダッシュは不可欠である。

 京都は[4-1-2-3]、松本は[5-4-1]を選択。松本がガッチリとゴール前を固め、それを京都がどう崩し切るのかである。

「[5-4-1]に関しては、ブロックを引いて疲弊しないように守ることをキャンプでやってきていた」(柴田監督)

 松本としてはリスクマネジメントをしながら、いかに勝ち点を奪うかに集中する。

「我々の対策をしっかりされた松本さんの守備に最後まで苦しめられたが、そこをこじ開けようと、出た選手全員が努力をしてくれたと思う。何より自分たちが今年やろうとしているものを、最後の最後まで貫いて示してくれた彼らの姿勢は、賞賛に値すると思う」(チョウ監督)

 前線からのプレッシングを90分間繰り返す、チョウ監督が湘南時代から徹底的してきたスタイルである。

 ただこれを回避するために松本は前線にロングボールを蹴り込み、そのセカンドボールの支配を狙う。互いにいくつかのチャンスを迎え、それをGKのビッグセーブで防ぐなど一進一退の攻防が続いた(12分には松本FW河合のシュートがゴールポストを叩くシーンも)。

 京都は左SBの荻原が攻撃の起点となり、MF松田など移籍組が早くもチームの骨格を形成し始めていた。ただ前線のFWウタカの得点力を活かすために、他の10人がどういう形で彼をサポートできるかになるが、その点ではもう少し工夫が必要だろう。特に松本が守備を固めているだけに、そこに奪ってから速い攻撃を仕掛けようにもスペース自体がない。70分を過ぎた時間帯から、京都が細かいパスワークを駆使してゴールに迫るシーンが何度も見られた。これに可能性を感じた。その一方でこれをもう少し早い時間帯にやっていたらどうなっていたかとも思う。

 かつてチョウ監督が率いた湘南は、格上の相手と戦う中で自らのスタイルを確立し、相手の背後のスペースに侵入するサッカーを繰り広げてきた。しかし京都はJ2の中では戦力的に非常に恵まれた環境にあり、昇格候補にも挙げられるチームである。相手としては京都と戦う以上、割り切って守備に軸足を置き、90分の中で数少ないチャンスを1度でものにすればいいというサッカーをしてくる。これは大きな差である。実際この試合の松本の戦いも同様のものだった。守備を固めた相手を遅攻でいかに崩すかを考えなくてはならないだろう。その意味でこの試合は京都にとって試金石になるものだった。

「球際の激しい戦いになったが、それに負けずに自分たちもやれたと思う。セカンドボールの処理がうまくいかない時間帯があり、前にうまくつけることができればこっちにも勢いが出てもっと前に出て行けたが、そこがうまくいかなかった」(松田)

 ゲーム序盤からプレイの激しさが目立ったものの、残念ながらそれを技術面でサポートできず、互いにミスでボールを失うシーンも目立った試合だった。どう克服していくのかも、今後の戦いの中で非常に重要なポイントになるだろう。

「全体的にハードワークをしてくれた。みんなが惜しむことなくやってくれたので、これをベースにしていきたいと思う。ここからまた1段2段上げていきたい」(柴田監督)

 ハードワークは必須。そこに何をプラスできるのか。J2戦線はまだ幕を開けたばかりだ。

文/吉村 憲文

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