10連覇&欧州制覇に黄色信号のユーヴェ 課題は山積みだが勝負のホーム3連戦
チームの野戦病院化に頭を悩ませるピルロ監督 photo/Getty Images
野戦病院化で苦しいチーム事情
セリエAとチャンピオンズリーグの両方で窮地に立たされているピルロ・ユヴェントスにとって、3月2日から始まるホームでの3連戦は、勝負どころとなりそうだ。
ユヴェントスは2月27日、セリエA第24節でヴェローナと対戦した。クリスティアーノ・ロナウドのゴールで先制に成功したものの、リードを守り切ることができず、1-1のドロー。その結果、1試合未消化ではあるが、首位インテルとの勝ち点差が「10」まで広がり、前人未到の10連覇へ向けて黄色信号が灯っている。
2月17日のポルト戦(CLラウンド16・1stレグ)でも1-2で敗戦を喫するなど、直近の公式戦5試合の成績は1勝2分2敗となっており、白星を1つしか手にすることができていないユヴェントス。不調の要因となっているのが、主力選手たちの相次ぐ離脱だ。主将ジョルジョ・キエッリーニをはじめ、ディフェンスリーダーとしてここまでチームを牽引してきたレオナルド・ボヌッチ、複数のポジションをこなせてピルロ監督からの信頼も厚いフアン・クアドラード、今季なかなかいいところを見せられていない10番のパウロ・ディバラなどが負傷離脱しており、チームが野戦病院化。最近は招集メンバーの半数近くがU-23チームでプレイする若手となっていることから見ても、チーム状況の厳しさがわかる。
エースとしてユヴェントスを支えるロナウド photo/Getty Images
ロナウドがゴール前に陣取れない
今季チーム最多となる13アシストを記録しているクアドラードもそうだが、ピルロ・ユヴェントスにおいて、ビルドアップやキープ力に定評のあるブラジル代表MFアルトゥールの離脱が大きな痛手となっているように思える。途中出場や途中交代も多いが、アルトゥールが出場した22試合でユヴェントスの黒星はわずかに1つ(16勝5分1敗)。さらに、年が明けて以降、アルトゥールがどんどん調子を上げているのが見てとれ、同選手が中盤の底から攻撃を組み立てることで、チームもピルロ監督が目指すサッカーを体現しつつあり、結果が出始めていた。そんな矢先にアルトゥールが負傷。ビルドアップの不安定さが再び露呈しつつあり、同選手が欠場した直近の公式戦5試合は先に述べた通りだ。
また、ボヌッチやアルトゥールといったこれまで後ろでビルドアップを行っていた選手たちの不在は、“エース”のポジショニング、果てはゴール機会にも大きな影響を与えているかもしれない。得点能力の高いロナウドには、ゴール前でどっしりと待ち構えてもらうのがベストだ。しかし、最近の試合ではチームのビルドアップがうまくいっていないせいか、中盤まで降りてきてボールを受けたり、サイドに広がってクロスを上げたり、本来ゴールを奪うべき選手であるロナウドがチャンスメイクに回っているシーンが目立つようになった。
特にポルト戦はそれが顕著で、1試合10本以上シュートを打つこともあるロナウドが、この試合ではわずか1本に。自身が上げたクロスに対して、ゴール前へなかなか入ってこないチームメイトたちに、苛立ちを見せるシーンもあった。ただ、このようなシーンでは、チームメイトがゴール前に走り込んでこないこと以上に「ロナウドがゴール前に陣取れない」、この現状こそが今のユヴェントスの問題や課題なのではないだろうか。
こういった状況ではあるが、いついかなるときも結果を求められるのがイタリアの絶対王者ユヴェントスだ。ホームで行われるこれからの3連戦、3月2日のスペツィア戦(セリエA第2節)、6日のラツィオ戦(セリエA第26節)、9日のポルト戦(CLラウンド16・2ndレグ)は、絶対に負けられない戦いである。いや、セリエA10連覇と悲願の欧州制覇へ向けて3連勝は必須だ。苦しいチーム状況の中でも、結果を残すことができるのか。