“アグエロの代役”と呼ばれる時期に終止符を マンCで待たれる新エース候補の覚醒

マンCでなかなかエースの地位を確立することができていないジェズス photo/Getty Images

そろそろ絶対的エースの地位を手に入れたい

2020-21シーズン、ここまでイングランド・プレミアリーグで首位を快走するマンチェスター・シティ。今季の同クラブはポゼッション志向の攻撃的なサッカーから守備を中心とする堅実なサッカーにそのスタイルを切り替えたことで、中盤戦以降調子を上げることに成功している。

しかし、ジョゼップ・グアルディオラ監督は来季以降もこのスタイルを継続して採用していくのだろうか。現時点で成功を収めてはいるものの、この堅実な守備的サッカーは今季のチーム事情もあって導入したものであるのは間違いない。今でもグアルディオラ監督の頭の中には、どこかでもう一度ポゼッション重視の攻撃的なサッカーで頂点を目指したいという気持ちはあるはずだ。

そうなってくると、問題となるのは最前線の駒不足。今季のマンCは9番の位置にMFベルナルド・シウバなどを置く“偽9番”戦術も採用しているが、本音を言えばこの位置には純然たるストライカータイプの選手を起用したいところだろう。実際、現地では今夏同クラブがCFを獲得しに動くとの情報も報じられている状況。前線中央できっちりと任務を遂行してくれるストライカーは、今グアルディオラ監督が最も欲しているタイプの選手と言っても過言ではない。
だが、その問題もFWガブリエウ・ジェズス(23)が独り立ちしてくれれば解決する。2017年冬にパルメイラスから加入して4年の時間が経過した同選手。これまではセルヒオ・アグエロの牙城をなかなか崩すことのできなった男だが、そろそろマンCで絶対的エースの立場を築き上げてほしいと思っているファンも少なくはないだろう。

では、ジェズスがマンCで絶対的な地位を築き上げるために必要なものは何か。それはやはり決定力だろう。加入からここまでプレイした5シーズンで、彼が流れの中から奪ったプレミアでの得点数は43ゴール(119試合)。これだけ見れば、決して悪くはないように見える。しかし、データアナリティクスの観点からしてみれば、ジェズスの得点数はまだ物足りない数字と言わざるを得ない。

データサイト『understat.com』によると、同期間におけるジェズスのゴール期待値は「57.39」。この数字はシュート難易度などや周囲の状況も考慮したうえで、「この4年間にジェズスはこのくらいの得点を奪えるはずだった」という指標だ。つまり、同期間に43得点しか奪うことができていないジェズスは、本来奪えるはずだったゴールを14点ほど逃していることとなる。

なお、アグエロはジェズスが在籍している直近5シーズンで66得点(PKを除く)を挙げているが、それに対する期待値は「66.95」。ほぼ期待値通りの数字を残している。ジェズスがアグエロと同等の信用を得るためには、やはりこういった部分の改善は必要となってくるだろう。

随所に才能の片鱗を感じさせはするものの、絶対的エースとなるためには現状少し物足りないジェズス。はたして、この若きストライカーはそう遠くないうちにもう一段階上のレベルへと到達することができるのか。ペップ・シティで新エース候補の覚醒が待たれる。

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