超攻撃軍団から“鉄壁軍団”へ? 退屈でも勝てるペップ・シティの変化

堅実に勝ち点を重ねるマンC photo/Getty Images

現プレミア最少失点チーム

ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティといえば超攻撃的なチームとの印象が強く、2017-18シーズンにはプレミアリーグで106得点、続く2018-19シーズンも95得点、昨季も102得点挙げており、その攻撃力は驚異的だ。

しかし、今季のチームは違う。ここまでマンCはリーグ戦14試合で21得点と苦戦しており、まさかの得点力不足に陥っている。1試合消化が少ないとはいえ、エヴァートンやサウサンプトン、ウェストハムといった中堅クラブに得点数でリードされるなど予想していなかっただろう。

ただ、その一方で失点が減っている。ここまでマンCは12失点に抑えており、これはリーグ最少だ。首位を走るリヴァプール、2位のレスター・シティも20失点喫しているため、ネイサン・アケやルベン・ジアスら新DFを加えたマンCの守備はまずまず機能していると評価すべきだろう。

名将グアルディオラに考えの変化があったのか photo/Getty Images

CL制覇へ今の戦い方が活きる可能性も

中でも興味深いのは11月末からの戦いだ。マンCは11月21日に行われたトッテナム戦を0-2で落としてしまったのだが、その1週間後に行われたバーンリー戦より[4-2-3-1]のシステムを採用。中盤の底にロドリ、イルカイ・ギュンドアンを並べる形を取り、このシステムをそこから5試合続けて採用している。

その結果、この5試合で4回のクリーンシートを達成。戦い方を少し変えていたが、26日のニューカッスル戦も2-0とクリーンシートを維持して勝利を収めている。中盤の底でロドリ、ギュンドアン、さらにはベテランのフェルナンジーニョを起用する形は守備に安定感をもたらすことになり、それが失点数減少の理由の1つとなっているのだろう。

残念なことに、システムの変更によってダビド・シルバの後継者候補と期待されるMFフィル・フォデンの出番は減った。ダブルボランチをロドリ、ギュンドアン、フェルナンジーニョらで回し、トップ下には不動のケビン・デ・ブライネが入るため、[4-3-3]のシステムに比べてフォデンを起用するのが難しいのだ。

一見すると退屈な戦いに感じるかもしれないが、今の戦いがチャンピオンズリーグ決勝トーナメントでも機能するならば面白い。グアルディオラ体制のマンCはチャンピオンズリーグ制覇を悲願に掲げているが、なかなか決勝トーナメントを勝ち抜けずにいる。昨季も伏兵リヨンに敗れており、守備の安定感は上位を目指すうえで大きな武器になる。

今季はベスト16でボルシアMGと対戦する予定となっており、ブンデスリーガで結果を残す不気味な集団だ。攻撃で相手をねじ伏せる戦いも魅力的だが、[4-2-3-1]を軸に手堅くチャンピオンズリーグ決勝の舞台を目指すのも悪くない。プレミア最少失点のチームは欧州最高峰の舞台でどのような戦いを見せてくれるのか。昨季までとは違うマンCに注目だ。(データは『Transfermarktより』)

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