停滞感を打ち破った遠藤航 パナマ代表戦で示した“デュエルだけではない”強み

後半のみの出場で抜群の存在感を示した遠藤航 photo/Getty Images 

最終ラインと前線を繋ぐリンクマンに

11月13日にパナマ代表との国際親善試合に臨んだ日本代表。61分にFW南野拓実が挙げたPKによるゴールが決勝点となり、同代表はパナマ代表に1-0で勝利した。

日本代表を率いる森保一監督は、この試合で[3-4-2-1]という布陣を採用。GKは権田修一で、3バックは右から植田直通、吉田麻也、板倉滉。2ボランチに柴崎岳と橋本拳人、両ウイングバックに長友佑都と室屋成が起用され、前線は三好康児と久保建英の2シャドー、ワントップに南野拓実という並びになった。

前半、日本代表は3バックを起点にビルドアップを試みたものの、最終ラインと中盤の間隔が広くなりすぎる場面が多く、これによりテンポ良くパスを繋げず。特に右サイドは右ウイングバックの室屋が敵陣の深いところにポジションをとり続けたことで植田との距離が極端に開き、自陣からのパスが繋がりにくくなるという現象が度々起きていた。
また、三好と久保、及び南野の3人が敵陣バイタルエリアでポジションチェンジを繰り返したが、4バックと中盤の4人でこのスペースを埋めたパナマ代表の守備に苦戦。植田からのロングボールを受けた南野がペナルティエリア内でシュートを放った6分の場面、同じく植田からのショートパスをバイタルエリアで受けた久保がワンタッチでボールをはたき、このパスを受けた三好がGK強襲のシュートを放った30分のシーン(三好がオフサイド)以外に、日本代表はパスワークからチャンスらしい形を作れずに前半を終えた。

この停滞感を打ち破ったのは、後半開始前に橋本に代わって投入された遠藤航。後半の立ち上がりから球際で抜群の強さを見せて中盤の守備を引き締めたほか、48分に自陣後方から右サイドの室屋へ正確なロングパスを送って相手の守備陣形を横に広げるなど、パサーとしても存在感を発揮する。

57分すぎにもセンターサークル内にいた遠藤が南野へ楔のパスを送り、その後ボールが久保、原口、室屋へと渡って決定機に繋がったほか、南野が相手GKルイス・メヒアと交錯しPKを獲得した場面(58分すぎ)の直前では、遠藤が攻撃の起点となる縦パスを出していた。

先制ゴールが決まった後も、遠藤は縦横無尽に中盤を駆け巡り、最終ラインからのビルドアップを手助け。最終ラインと前線を繋ぐリンクマンの役割を完遂しただけでなく、前半からパナマ陣営の徹底マークに遭っていた柴崎の攻撃面での負担を軽減してみせた。かねてよりデュエルの強さに定評がある同選手だが、攻撃面においても日本代表にとって欠かせない存在であることが、この一戦で証明されたと言っても過言ではないだろう。





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