[水沼貴史]今や日本代表&シュツットガルトの心臓 “好調”遠藤航の武器とは

水沼貴史の欧蹴爛漫048

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10月13日のコートジボワール代表戦で、秀逸な守備を披露した遠藤航 photo/Getty Images

攻守両面で不可欠な存在に

水沼貴史です。10月9日と13日に日本代表がカメルーン代表とコートジボワール代表を相手に親善試合を行いましたが、特に守備面で収穫のある内容だったと思います。吉田麻也と冨安健洋の両センターバックの連係も素晴らしかったのですが、コートジボワール戦ではボランチとして先発した遠藤航の気の利いたカバーリングが光っていましたね。吉田と冨安のどちらかが前に釣り出された際には背後のスペースのケアを欠かさず行っていましたし、相手のカウンターやサイド攻撃を遅らせるためのボールホルダーへの寄せも見事でした。今の日本代表における彼の重要性を改めて感じました。昨年の夏にシント・トロイデンからシュツットガルトへ移籍した遠藤がどんなプレイを前面に押し出し、現地メディアからの高評価やペレグリーノ・マタラッツォ監督(シュツットガルト)からの信頼を勝ち得たのか。今回はドイツで通用している彼の武器についてお話しします。

シュツットガルトの今季の基本布陣は[3-1-4-2]や[3-4-2-1]で、直近のリーグ戦2試合で遠藤は2ボランチの一角として起用されていますが、ボランチでコンビを組んでいるオレル・マンガラとの関係性が良いですね。ミドルシュートが得意なマンガラが積極的に敵陣ゴール前へ攻め上がり、これによって生まれる中盤のスペースを遠藤がきちんと埋めているように、私には見受けられます。味方が競り合った後のルーズボールへの反応であったり、自身が背後を突かれた際のプレスバックも速い。ボランチの選手がすべきプレイを、90分間集中を切らさずにできていることが、監督の好印象に繋がっている感がありますね。

また、身長178cmと決して大柄ではありませんが、現地メディアが称えている通り、球際で抜群の強さを見せています。日本でプレイしている頃から体幹がしっかりしていて、比較的強い接触でも体の軸がブレないなと感じていたのですが、ベルギーやドイツで屈強なフィジカルを誇る選手たちと何度も対戦したことで、自分より大柄な相手への体の当て方が洗練されてきました。抽象的な言い方になってしまうのですが、上半身や肩任せでなく、“下から上に”腰から相手にぶつかっていく感じが良いですね。こういう当たり方をすることで大柄な選手が相手でもボディバランスを崩せますし、少なくともフィフティ・フィフティの展開には持ち込めます。体格差のある相手とどのように張り合えば良いかという観点で、彼の体の入れ方はまさにお手本と言えるのではないでしょうか。

10月23日のケルン戦では、効果的な縦パスでチームの攻撃を活性化させた photo/Getty Images

ここまで遠藤の守備面での貢献についてお話ししましたが、彼は攻撃面でも存在感を示しています。今月23日に行われたケルン戦(ブンデスリーガ第5節)でもポストプレイが得意なFWササ・カライジッチに効果的な楔のパスをつけていましたし、独力突破が得意なタンギー・クリバリとサイラス・ワマンギツカの両ウイングバック、2シャドーのゴンサロ・カストロやダニエル・ディダビのスピードを殺さないような縦パスを中盤の底から供給できていました。前への推進力が持ち味のマンガラが空けたスペースをマメにケアしていることからも分かる通り、彼は周りの選手の特性を理解したうえで、攻守両面において自分がすべきプレイを当意即妙に選択できる。これがマタラッツォ現監督から厚い信頼を寄せられている最大の理由だと思います。

今やシュツットガルトの心臓と言っても過言ではない彼ですが、欲を言えば自らゴールを狙う姿勢をもっと見せてほしいですね。直近の試合ではマンガラが空けるスペースのケアを優先し、シント・トロイデン時代に見られた自らの攻撃参加を抑えているふしがあるのですが、ミドルシュートを打てる位置にもっと顔を出したり、セットプレイのチャンスから得点を量産できれば相手にとってより脅威的な存在になりますし、強豪クラブから声がかかってステップアップに繋がるでしょう。彼がよりスケールの大きな選手へと成長し、ロシアW杯を最後に代表から引退した長谷部誠(フランクフルト)と同じように、日本代表の中盤を長く牽引してくれることを願っています。

ではでは、また次回お会いしましょう!


水沼貴史(みずぬま たかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。

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