ドルトの超絶テクニシャンはトップ下で輝く ファブレは起用法を考え直すとき

その万能性から様々なポジションで起用されているブラント photo/Getty Images

便利屋として扱うにはもったいない

なんでも器用にこなすことができてしまうが故に、なかなか自分が最も輝くポジションでプレイできない選手というのは少なくない。出場数はある程度確保できるものの、ひとつのポジションで絶対的な存在とはなれない。ドルトムントに所属するドイツ代表MFユリアン・ブラントも、そんな選手の一人として数えることができるだろう。

昨夏ドルトムントに加入し、これまで同クラブで公式戦50試合に出場しているブラント。今ではすっかりドイツの強豪において主力に定着していると言っていいはずだが、そんなドイツ代表MFにも悩みがある。前述したように、彼はドルトムントで起用されるポジションがなかなか安定しないのだ。

加入からこれまでの間にブラントがドルトムントで任された主なポジションは、トップ下(23試合)、センターハーフ(17試合)、そしてウイング(7試合)の3つ。最近ではそれに加えてセンターフォワード(3試合)として起用される試合も増えており、彼の“便利屋化”はここのところさらに勢いを増していると言っていい(各試合数は『transfermarkt』を参照)。
しかし、ブラントが一番輝くのはやはりトップ下。「昨季終盤戦にモノにしつつあった“偽10番”の役割こそがブラントに最も適したタスクだ」。独『Sport Buzzer』が紹介したファンの声の中には、こういったブラントのトップ下固定を求める意見も。そして、そんなファンの意見が正しいと証明するかのように、25日に行われたシャルケとのルール・ダービーでブラントは躍動した。この試合にトップ下で先発を果たした同選手は、77分までの出場で好プレイを連発。ゴールに直接絡むことこそなかったが、データサイト『WhoScored』も評価点「7.1」をつけるパフォーマンスでチームを牽引している。

そんな、ファンも求めるブラントの“トップ下固定案”には、独『sport1』も賛成の様子だ。同メディアは「明らか他のポジションとトップ下の時のブラントの動きは違う」と綴っており、より自由度の高いポジションで起用した方がこのドイツ代表MFは活きると考えている。実際、過去に行われた“偽10番”に関するインタビューにおいては、ブラントも「僕は何かに制限されることが好きじゃないから、この役割は最高だね」と語っている。やはり、彼も自身が最も活きるのはトップ下の位置だと見ているか。

ドルトムントのテクニシャンが抱える、選手としてハイスペックすぎるが故の悩み。自由を与えればさらに輝く可能性を秘めている選手だけに、ルシアン・ファブレ監督はブラントの起用法について今一度考え直すべきなのかもしれない。

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