敏腕ビジネスマンすぎるのも問題か トッテナム会長にモドリッチが物申す

トッテナムのレヴィ会長 photo/Getty Images

レアル移籍時を自伝で回想

サッカー界には名物会長と呼ばれる人物が何人かいる。おそらく、トッテナムのダニエル・レヴィ会長もその一人と言えるだろう。

近年におけるトッテナム躍進に多大な貢献を果たしてきたレヴィ会長。彼が長期的な目線で改革を焦らなかったからこそ、今のスパーズがあると言っても過言ではないか。今季は不本意な成績に終わってしまったが、2018-19シーズンは“補強ゼロ”でCLファイナルに進出するなど好成績を収めている。必要なものとそうでないものを見極める眼力。さすがは敏腕経営者と言ったところか。

しかし、その一方でレヴィ会長はあまりにも物事をビジネス的に捉えすぎると主張する人物がいる。それは2008年から2012年までトッテナムに在籍したクロアチア代表MFルカ・モドリッチ(現レアル・マドリード)だ。8月に現地で発売される自伝『Luka Modric: My Autobiography』にて、このテクニシャンは2012年夏のレアル移籍を回想。その中で、同選手は当時のレヴィ会長が見せた振る舞いを次のように非難している。
「交渉は厳しいものになった。代理人は僕に包み隠さず全てを話してくれたよ。結果的に言うと、レヴィが全てを狂わせていたんだ。両者が何かに合意するたび、彼はさらに別のものを求めたんだ。かなりストレスが溜まったね。妻をはじめとした家族もさ。あまりにも話が決まらないから、妻に『レヴィはなんてアンフェアな奴なんだ?』って話したことを覚えているよ」

「でも、そんな状況を打開したのがモウリーニョだった。彼は僕がどうしても欲しかったから、レアルの関係者が諦めかけた時でも交渉の継続を主張したらしいんだ。彼が自らレヴィに電話したとも聞いている。これがなければレアルは獲得を諦めていただろうね。レヴィはトッテナムにとっては素晴らしい会長だ。だけど、僕は彼に苛立ったよ。過去にビッグクラブへ行けると約束したことがあったからね。約束やその言葉はクラブの利益よりも重要だと僕は思う」

モドリッチの売却に際して、レヴィ会長はここぞとばかりにレアルへ追加条件を要求していたという。ステップアップを望む選手としてはたまったものではなかったか。クラブの利益を優先するあまり、選手の気持ちを考えることができていないとモドリッチは痛烈批判を展開している。

とはいえ、経営者としては優秀すぎる仕事ぶりを披露するレヴィ会長。これが交渉を成功へと導いた例もあるだけに、なかなか難しい問題であることは間違いない。ビジネスマンとサッカー選手、これはそれぞれの大切にするものが如実に現れたエピソードと言えるか。

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