[西岡明彦]再び輝き出したレスター、立役者はあの名将

しばらくは夢の続きが見られそう

しばらくは夢の続きが見られそう

昨季途中からレスターを指揮するロジャーズ photo/Getty Images

 かつてミラクル・レスターと称され、クラウディオ・ラニエリ監督の下、2016年にプレミアリーグを初制覇したレスター。しかし、翌シーズンには成績不振から監督交代を敢行し12位で残留を成し遂げたものの、クレイグ・シェイクスピア、クロード・ピュエルと受け継がれた体制は低迷を脱することはできませんでした。さらに昨年10月にはオーナーのヴァチャイ・スリヴァッダナプラバらを乗せた小型飛行機がキングパワー・スタジアムを離陸した直後に墜落し、乗客全員が死亡するという悲劇まで起きてしまいました。

 そんなクラブの苦境を救ったのがブレンダン・ロジャーズでした。かつてリヴァプールを優勝争いまで導いたロジャーズは、3年前からセルティックの指揮官を務めていましたが、プレミアリーグの舞台に戻りたいという一心でレスターのオファーを受諾。選手のポテンシャルを最大限生かすことに成功したのでした。最近ではアーセナルやトッテナムの後任監督候補に挙げられるほど、彼の手腕は再び評価を上げているのです。

 9日、アーセナルに2-0で勝利したレスターは、リヴァプールに次ぐリーグ2位に浮上。5位のシェフィールド・ユナイテッドとは勝ち点9の差を付けていることから、来季のチャンピオンズリーグ出場権獲得が現実的な目標となってきました。DFジョニー・エヴァンスは3年前のタイトルレースと比較することはできないと前置きした上で、「クリスマスを過ぎないと将来の目標について話をすることはできないだろう。3年前、レスターはそれほど警戒されてなかった。ただ、我々は良い意味で自信を深めているし、結束している」と、昨夏にウェストブロムからレスターに加入した北アイルランド代表DFは語りました。
 また各国代表選手が比較的少なく、インターナショナル・マッチ・ウィークを疲労軽減の為の1週間に充てられるのも好材料。32歳にしてプレミアリーグのトップとなる10得点を挙げているFWジェイミー・バーディも、ガレス・サウスゲイト監督の若手選手を積極的に起用するプランに配慮してイングランド代表の活動には参加しない意向を示しています。「もちろん経験ある選手は、状況に応じて助けてくれるだろう」と指揮官は語っていますが、ハリー・ケイン(トッテナム)、マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)、タミー・エイブラハム(チェルシー)の3選手を中心に戦っていくことを示唆しています。

 代表ウィーク明けはブライトン、エヴァートン、ワトフォードなどボトム10のチームとの対戦が続くレスター、暫くは夢の続きが見られそうです。

電子マガジンtheWORLD239号 11月15日配信の記事より転載

文/西岡 明彦

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