不人気なアーセナル新主将はそんなに酷いか 問題はエメリの起用法では

正式にキャプテンに指名されたジャカ photo/Getty Images

大絶賛のグエンドウジと較べると……

チーム内投票による“総選挙”により、アーセナルの新キャプテンはMFグラニト・ジャカに決まった。ジャカはリーグ開幕以来、暫定的にゲームキャプテンを務めてきたため、一見無難な人事であるように思える。しかしアーセナルファンは、ジャカのキャプテン就任を歓迎しているわけではないようだ。英『Daily Mail』も一部を紹介しているが、アーセナルファンのtwitterには以下のような不満の声が見受けられる。

「僕はエメリが好きだけど、ジャカがキャプテンというのは不名誉だし、それは彼(エメリ)を解雇することにつながる。奴はフットボーラーじゃないし、言うまでもなくアーセナルのキャプテンなんかじゃない」

「彼は票を得たみたいだけど、自分で入れたんじゃないの?」
「ジャカがキャプテン……。もうシーズンは終わったね」

ジャカは先日のアストン・ヴィラ戦でピッチを退いたときも、一部ファンからブーイングを浴びていた。では、彼のパフォーマンスはそれほどまでに酷いのだろうか。プレミアリーグでの、今季の主なスタッツを見てみよう。参考までに、今季のパフォーマンスが絶賛されているMFマッテオ・グエンドウジのスタッツをカッコ内に併記する(数字は1試合あたりの平均値)。

シュート数:0.8本(0.7本)
キーパス数:1.2本(1本)
ドリブル成功数:0.4回(1回)
被ファウル数:2回(1.3回)
ボールロスト数:0.6回(0.8回)
パス数:68.6本(61.2本)
パス成功率:87.8%(88.3%)
ロングボール成功数:4.6本(3.5本)
タックル成功数:2回(1.7回)
インターセプト成功数:0.6回(1.8回)
ファウル数:2.6回(0.8回)
クリア数:1.6回(1.3回)
ブロック数:1回(0.5回)
イエローカード:3枚(2枚)
レッドカード:0枚(0枚)
ゴール:0(0)
アシスト:0(1)

総出場時間:432分(513分)
(※データはWhoscored.comより)

ジャカはアンカーのポジションを務めることが多く、グエンドウジは1列前で起用されることを考慮に入れる必要があるが、それほど両者に差がないことに気づくだろう。パス数の多さは彼がよくボールに触っていることを示しているし、ロングボールを1試合あたり4本以上通しているのは、彼のプレイの特質をよく表してもいる。代名詞である強烈なミドルシュートが決まっていないのは寂しいところだが、少なくとも攻撃面では一定の貢献ができていると言っていいだろう。守備面のインターセプト数に関しても、より高い位置でプレスをかける役割のグエンドウジの方が高いのは当然の結果だ。

気になるのはファウルの多さで、これが失点につながったシーンが今季のジャカの印象を悪くしている。だがそもそも敏捷性やスピードに難があり、守備が得意でない彼をアンカーで起用し続けるウナイ・エメリ監督の采配の方に問題があると考えることはできないだろうか。[4-3-3]でアンカーのポジションを務める場合、選手はかなり広いスペースをカバーする必要に迫られる。運動量と敏捷性があり、タックルのスキルが高いルーカス・トレイラの方をアンカーにすべきとの声も聞かれるし、ある程度の高い身長が必要との考えならば、カラム・チェンバーズやダビド・ルイスという選択肢もあるだろう。おそらく、ジャカはグエンドウジと同じく、もう1列前で起用した方が活きるのではないか。他にも中盤にタレントがいるため難しいところだが、ジャカをアンカーに置く起用法は、これまでのところデメリットの方が目立つ結果となってしまっている。

少なくとも、キャプテンがブーイングを受けるような状況は改善しなければならない。それではチームの士気は上がらないし、その改善に取り組むのは監督の仕事だ。ジャカが悪いイメージを払拭し安定したパフォーマンスを発揮するためには、まずエメリ監督がチームの編成を見直すことこそが最重要と言えるだろう。


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