チャンピオンズリーグでベスト4まで進んだアヤックスの強みの1つが、「育成力」だ。現在のチームはとにかく若く、フレッシュな力でベスト4入りを勝ち取った。さすが育成に定評のあるアヤックスと感心した者も多いだろうが、ユース年代でアヤックスのマタイス・デ・リフトやドニー・ファン・デ・ベークを撃破した者たちをご存知だろうか。
チェルシーである。英『Football London』がアヤックスの躍進に合わせて振り返っているが、2015-16シーズンのUEFAユースリーグにて両チームは準々決勝で激突。ユースリーグとは、19歳以下の選手が出場するユース年代のチャンピオンズリーグだ。このゲームにアヤックスはデ・リフト、ファン・デ・ベークが先発し、さらに現在ローマでプレイするFWジャスティン・クライファートも途中出場を果たしている。
一方でチェルシーのスタメンにはMFケイシー・パーマー(ブリストル・シティにレンタル中)、FWタミー・アブラハム(アストン・ヴィラにレンタル中)、DFフィカヨ・トモリ(ダービーにレンタル中)、DFジェイク・クラーク・ソルター(フィテッセにレンタル中)、DFジェイ・ダシルバ(ブリストル・シティにレンタル中)らユース年代から名前の売れていた実力者が顔を揃えている。
さらにベンチにはナサニエル・チャロバーの弟トレヴォ・チャロバーも入っていた。チェルシーはこの豪華な顔ぶれでアヤックスを1-0で撃破し、準決勝ではアンデルレヒトを3-0で粉砕。決勝ではパリ・サンジェルマンを破って優勝を果たしている。グループステージから1度も負けることなく優勝しており、相変わらずチェルシーのユース年代は強い。
しかし当時優勝したメンバーの中で、今チェルシーのトップチームで活躍している者はいない。もちろんエールディヴィジとプレミアリーグではレベルに差があり、アヤックスの方が若手を試しやすい環境にあるのは間違いない。それでもチェルシーが優秀な若手を積極的に引き上げていれば、デ・リフトやファン・デ・ベーク級の評価を得る者が出ていたかもしれない。
若手を育成し、そこからどうトップチームに組み込んでいくのか。ここでチェルシーとアヤックスには大きな差がついてしまった。チェルシーのサポーターとしては少々複雑だろう。