香川真司よ、再び日本代表へ! トルコから始まる”10番”の逆襲劇

ベシクタシュに向かった香川 photo/Getty Images

求められるはゴールへの意識

アジアカップに香川真司がいればどうなっていたのか。森保ジャパンが誕生して以降は堂安律、南野拓実、中島翔哉のフレッシュな2列目が大きな注目を集めたが、堂安と南野も今回のアジアカップで大爆発とはならなかった。親善試合で彼らが結果を出していた際には世代交代が完了したかのような見方もあったが、香川のような経験豊富な選手たちもまだまだ割って入れるだろう。特にトップ下は南野と争える選手が少なく、香川が今後南野のライバル候補になるのは間違いない。

ポイントは香川が新天地ベシクタシュでどこまでパフォーマンスを上げられるかだ。アジアカップでは期待されたほど得点を挙げられなかったが、南野や堂安は所属クラブで得点を奪えるMFであることを証明している。現在はベルギーのシント・トロイデンMF鎌田大地も代表候補だと森保監督も認めたが、それもクラブで得点を量産していることが大きな理由だろう。森保ジャパンの2列目を務めるには得点力が1つの必須条件と言えるはずだ。

親善試合でも中島、堂安、南野の3人はシュート意識の強さを見せており、彼らはバイタルエリアで前を向くと迷わずシュートを選択してくる。所属クラブでもこの姿勢は変わらず、これがゴールという分かりやすい結果に繫がっているのだろう。その一方で、香川はキャリアハイのリーグ戦13得点を記録した2011-12シーズン以降シュート数が減少傾向にあった。

初めてブンデスリーガ制覇を果たした2010-11シーズンは1試合平均2.1本、連覇を果たした2011-12シーズンは2.2本のシュートを打っていたが、それがドルトムントに復帰した2014-15シーズンには1.4本、2017-18シーズンは1.3本まで落ちた。もちろんユルゲン・クロップが指揮していた当時はブンデスリーガを制しており、チームが上手く機能していたこともシュート数が多かった理由ではあるだろう。しかし、香川が個人で仕掛ける機会が少なくなっていたのは間違いない。

1試合平均のドリブル数も2011-12シーズンの2回が最多で、2010-11シーズンは1.3回を記録していたが、それ以降は2014-15シーズン(0.8回)、2015-16シーズン(0.7回)と下がっていく。昨季も0.5回だった。ドリブルをせずとも香川の良さは随所に出ていたものの、やはり個で局面を打開する機会は減っている。もちろん指揮官が交代していく中で香川がインサイドハーフなど違う役割で起用されていたことも数字が落ちている理由だが、それでもドリブル、シュート数、得点数でキャリアハイを記録したのが7年も前というのは少々寂しい。

現在森保ジャパンで売り出し中の存在とも言える中島は昨季もポルティモネンセでチーム2位となる1試合平均シュート数2.9本、今季も同じくチーム2位の2.6本を記録している。フローニンヘンの堂安は今季チーム1位となる2.9本のシュートを打っており、リーグのレベルに違いはあれど彼らがシュート意識を高く保っているのが分かる。その姿勢が得点数に繋がっているのは間違いない。

香川は現在29歳だが、ドルトムントでは同い年のマルコ・ロイスがキャリアハイに届くペースで得点を量産している。ベテランになっても成長は可能で、香川もベシクタシュでキャリア最高の状態に達することができるはずだ。確かにベシクタシュは欧州四大リーグに所属するクラブではないが、所属クラブの格が重要でないことは昨年のワールドカップでも証明されている。インテルで出番を失った長友佑都は同じくトルコのガラタサライに移籍し、そこでコンディションを上げたことがワールドカップでの好パフォーマンスに繋がった。ドイツ2部のデュッセルドルフ行きを選んだ原口元気、ミランを離れてメキシコのパチューカへ向かった本田圭佑もワールドカッ プではネットを揺らしている。欧州四大リーグにこだわって下位に沈むチームへ行くよりは、トルコ国内でも強豪のベシクタシュに向かった方が攻撃面で結果を残しやすいとも言え、そうして自信とコンディションを高めていくことが代表での好パフォーマンスに繋がるとポジティブに受け止めることもできる。

近年は南野や中島を含め2列目ではベルギーのヘントでブレイクした久保裕也、ワースラント・ベヘレンでの活躍からアンデルレヒトへと引き抜かれた森岡亮太など結果を残した海外組は多い。しかし欧州四大リーグでブレイクを果たした者は存在せず、そこが香川との決定的な差だと言われてきた。香川が欧州四大リーグ以外でプレイした時にどんな成績を残せるのか。ドルトムントを離れた今こそ、南野や中島らと比較しやすくなったと言えるのではないだろうか。香川がベシクタシュで圧巻のプレイを続けるようならば、日本代表サポーターの誰もが南野ら若手より香川の方が実力は上と認めるようになるはずだ。

ひとまず香川はデビュー戦となったアンタルヤスポル戦で2得点を挙げる最高のスタートを切った。問題はこれを継続できるかどうかだ。再び代表でスタメンを奪うには、とにかく得点という分かりやすい結果が欲しい。それが実現できれば2列目の世代交代に待ったをかけることができる。トルコでの快進撃から香川が南野のポジションを奪い取ることも可能なはずで、アジアカップで課題を感じた今からが本当のサバイバルの幕開けだ。

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