[ロシアW杯#59]イングランド、スウェーデンのお株を奪う堅守で28年ぶりの準決勝進出! 

得意のセットプレイが炸裂 イングランドが優勢に

得意のセットプレイが炸裂 イングランドが優勢に

この日も空中戦で強さを発揮したマグワイア。30分にCKから貴重な先制点を挙げた photo/Getty Images

派手さはないが、堅実な守りを武器とするスウェーデン代表との対戦ではほとんどのチームが得点を奪うことに苦労する。イングランドも序盤の10分間は決定機を作ることができず、堅いゲームになると予想された。

しかし、今大会でイングランドは何度もセットプレイで試合を動かしている。それはこの試合でも変わらず、30分にコーナーキックからDFマグワイアが強烈なヘディングシュートを決めて先制。イングランドは大会前からセットプレイのパターンを増やしてきたことをアピールしていたが、ここまでその成果がしっかりと出ている。

これでスウェーデン自慢の[4-4-2]の守備ブロックに穴が空きはじめ、45分にはヘンダーソンのロングボールに反応したスターリングが最終ラインの裏を突き、GKと1対1に。決めることはできなかったが、今大会初めて先制点を奪われたスウェーデンにやや焦りが出ていたのは間違いない。
追いつこうと前がかりになったスウェーデンもチャンスを作れなかったわけではない。後半開始早々には左サイドのクロスから空中戦を得意とするベリがアシュリー・ヤングとのミスマッチを作り、強烈なヘディングシュート。しかしこれはGKピックフォードが片手で弾き出した。ピックフォードは61分にもクラーソンの至近距離からのシュートを弾き出しており、これまでGKが不安定と指摘されてきたイングランドのイメージを振り払うパフォーマンスを見せた。

ルスティグ不在の影響拭えず、スウェーデンが痛恨の失点

ルスティグ不在の影響拭えず、スウェーデンが痛恨の失点

相手の猛攻を凌いだイングランドは59分、リンガードのクロスにアリがヘディングで合わせ、追加点をゲット photo/Getty Images

イングランドがピックフォードを中心に想像以上の堅守を披露する一方で、元より堅守のイメージがついているスウェーデンは59分にあっさり追加点を許してしまった。リンガードが右サイドからペナルティエリアへ放り込んだボールに反応したアリが、フリーでヘディング。これにはGKオルセンも反応できずに2-0となり、イングランドが試合を完全に支配した。

スウェーデンはこの試合で右サイドバックのルスティグを出場停止で欠いており、今回はクラフトが先発していた。最終ラインの構成が崩れてしまったことも、リンガードのクロスからあっさりアリをフリーにしてしまった理由の1つだろう。クラフトにはアリが全く見えていなかった。

その後はイングランドがアリを下げてデルフ、ヘンダーソンを下げてダイアーと確実に守備を固めていく。スウェーデンとしては0-0の時間を長く続け、1点を奪って逃げ切り態勢に入りたかったところだろう。しかし理想通りの守備固めに入ったのはイングランドだった。リードしてから長身のダイアーを中盤に入れて守りを固めるパターンはイングランドお決まりのものだ。理想的な戦いで苦手な北欧チームを撃破したイングランドが、順調にベスト4へ駒を進めている。

[スコア]
スウェーデン代表 0-2 イングランド代表

[得点者]
イングランド代表:マグワイア(30)、アリ(59)

文/冨田 崇晃

theWORLD219号 2018年7月8日配信の記事より転載

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