【特集/W杯で見たい選手30#1】列強のフットボールを牽引せよ! ロシアW杯世代の新たなエースたち

ブレイク必至の南米2強の新鋭 スペインでは新司令塔が台頭

ブレイク必至の南米2強の新鋭 スペインでは新司令塔が台頭

ネイマールを引き立てるコウチーニョの黒子ぶりに注目だ photo/Getty Images

ロシアW杯で前回大会の雪辱を果たしたいブラジル代表のエースはネイマールだが、負傷から完全回復できるか不安が残る。しかしアタッカーの選手層は厚く、フィリペ・コウチーニョが攻撃を牽引するはずだ。キレ味抜群のドリブル、ラストパスのセンスと決定力には定評がある。ブラジル代表では3トップの右ウイングだが、ネイマール不在なら本来得意とする左サイドでもプレイできる。速攻ではスピードを活かしてサイドからの突破を担い、遅攻ではインサイドへ入って崩しの軸になる。ネイマールがいれば右に回るが、ネイマールを上手く引き立てながら守備負担を引き受けるバイプレイヤーになれる。リオネル・メッシのいるバルセロナでそうした立場にも慣れている最強のナンバーツーだ。
 
ブラジル代表のライバル、アルゼンチン代表は言わずと知れたメッシのチームだが、パウロ・ディバラの存在も注目だ。メッシと同じ左利き、プレイエリアもプレイスタイルも似ているために共存が難しい。そのため土俵際まで追い込まれた南米予選ではメッシ頼みのシステムとなり、ディバラは出番を失っている。ただ、このまま埋もれさせるにはあまりに惜しい才能だ。ロシアW杯ではメッシが集中的にマークされるだろうし、予選と違って新たなコンビネーションを作る時間もある。攻撃的なサッカーを標榜するホルヘ・サンパオリ監督なら、メッシとディバラのタンデムを模索するのではないか。極小エリアでプレイできるテクニック、GKのブラインドを利用してのシュートなど、底知れない能力を感じさせる。
 
一時期の低迷から脱したスペイン代表はイスコがキーマンだ。フレン・ロペテギ監督は既存戦力のセルヒオ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバに新戦力のマルコ・アセンシオ、コケらを加え、従来のパスワークをグレードアップしている。もはやサッカーというよりバスケットボールに近いパス回し。その中で動き回ってチームメイトをリンクするイスコは、高速パスワークで生きる技術と敏捷性に優れている。速いパスを受けて、ボールを足につけたまま自由に方向転換できる。スペイン代表のMFは皆この技術に優れているが、イスコは特にターンが速く、ターンしながら周囲を見ることができる。スペイン代表復活の旗手となるべき存在だろう。

ドイツに現れた新ストライカー プレミア屈指のプレイメイカーに刮目せよ  

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ムバッペ(写真左)の高速ドリブルを止めるのは至難の業だ photo/Getty Images

フランス代表はダークホースに挙げられる。才能ある若手が台頭し、スピードと突破力は驚異的。その筆頭が昨季モナコでブレイクしたキリアム・ムバッペである。“アンリ2世”と呼ぶに相応しい爆発的な加速能力に繊細なテクニックを兼ね備え、得点能力も高い。今季はパリ・サンジェルマンへ移籍してネイマール、エディンソン・カバーニらと共に不動の3トップを形成している。若さに似合わぬ緩急の駆け引きを使えるうえ、ネイマールの加入で得意とする左サイドから右へスイッチされたにもかかわらず、すぐに順応する器用さも持っている。
 
タレントの宝庫、ベルギー代表も優勝候補に挙げられる。ケビン・デ・ブライネはマンチェスター・シティでジョゼップ・グアルディオラ監督の指導の下にグレードアップした。強力なキックを活かしたクロスボールが武器だが、それ以上にゲームを読む能力、ポジショニングの的確さ、守備での貢献も見逃せない。インテリジェンスを磨いたことで飛躍し、世界でもトップクラスのMFとして君臨する。ロメル・ルカク、ドリース・メルテンス、エデン・アザールなど個の能力で怪物級のアタッカーが揃ったベルギー代表だが、彼らを操れる頭脳としてデ・ブライネの双肩にかかる期待は大きい。
 
ロシアとの外交問題で出場が危ぶまれているイングランド代表だが、ゴールゲッターのハリー・ケインの背後で攻撃の軸になるデル・アリは注目の若手だ。長い足を巧みに使ったボールコントロールの良さ、インスピレーションで決定的なプレイを演出。得点力も高く、ケインとはトッテナムのチームメイトなのでコンビネーションも良い。これまでのイングランド代表にはない柔軟さを持ち、イングランドらしいハードワークもこなせる逸材だ。劣悪な家庭環境のために少年チームの友人の家の養子になるという厳しい半生を生き抜いた芯の強さも、大舞台向きかもしれない。
 
前回大会優勝のドイツ代表から新たな有望株をひとり挙げるとすれば、FWのティモ・ヴェルナーになるだろう。さほど大柄ではないがスピードがあり、裏への抜け出しから得点を量産する。ウルグアイ代表のルイス・スアレスと似た方向転換の速さや体の強さがある。ミロスラフ・クローゼ、マリオ・ゴメスらのベテランに頼ってきたセンターフォワードのポジションに久々に現れた新星だ。


文/西部 謙司

1995年から98年までパリに在住し、サッカー専門誌『ストライカー』の編集記者を経て2002年からフリーランスとして活動。主にヨーロッパサッカーを中心に取材する。『フットボリスタ』などにコラムを寄稿し、「ゴールへのルート」(Gakken)、『戦術リストランテ4』(ソル・メディア)など著書多数。Twitterアカウント:@kenji_nishibe

theWORLD196号 2018年3月23日配信の記事より転載


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