2018年のサッカー界最大のイベントは、なんといってもロシアW杯です。4年前のブラジルW杯がグループリーグ1分け2敗という悔しい結果に終わっているだけに、雪辱を期す日本代表がどんな戦いを見せてくれるか非常に楽しみにしています。
そうしたなか、昨年12月に開催されたE-1選手権は各方面でいろいろなことを指摘されています。私が一番に思うのは、開催国として優勝を逃したのは残念だったということです。国内でプレイする選手たち(クラブW杯に出場した浦和の選手、ケガをしている選手は不参加)で臨んだわけですが、全体の戦い方が意志統一されておらず、初戦の北朝鮮戦から苦戦の連続でした。
選手たちが置かれた状況を考えると、確かに難しかったと思います。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指向するスタイルがあるなか、「W杯を戦うメンバーに入りたい」という強い気持ちもあることで、違うスタイルを出してしまうと選ばれないという不安を感じていたのかもしれません。本来は結果を求めて戦わないといけないのに、スタイルを遂行することに意識が引っ張られて自己表現が足りていないと感じました。
個々の選手がそれぞれプレイしていて、チームとしてのまとまり、組織力があまり感じられませんでした。ハリルホジッチ監督が求めるスタイルを遂行しつつ、もっと臨機応変にプレイして良いと思います。いろいろな状況に対応できる柔軟性がないと、ブラジルW杯と同じ結果を招く恐れがあります。
こうした印象はE-1選手権ではじめて感じたわけではなく、W杯アジア予選などを通じて散見され、私は常々指摘してきました。いまの代表は、ハリルホジッチ監督が要求するサッカーができていないように思われますが、だからといってもう監督についてどうこう言っている時期ではありません。本番までの強化日数を考えると監督を変えても修正する時間はなく、ハリルホジッチ監督でロシアW杯を戦うことを前提に考えたほうが賢明です。
では、どうするべきか? ハリルホジッチ監督が指向するスタイルをベースに、プラスアルファを選手たち自身で出してほしいです。
日本サッカーの良さは、これまでもこれからも“組織力”です。“個”の力にはどうしても限界があります。ピッチでは机の上で考えた以上のことが起こるのが当たり前で、ひとつのスタンスを持ちながらも、試合のなかで選手たちが柔軟に判断し、多少の変化をつけていかないと戦えません。ハリルホジッチ監督は各選手が1対1の競り合いに強くなることをベースに強化していますが、そこには全体に限界があります。組織力というプラスアルファがないと、世界の列強国を相手にしたときには絶対に勝てないと私は考えています。