高評価だった本田圭佑はまた右サイド 日本は対イラク想定のシリア戦を活かせていたか?

シリア戦から前線の構成は大きく変化

シリア戦から前線の構成は大きく変化

右サイドで先発した本田 photo/Getty Images

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日本代表は13日に2018ロシアワールドカップアジア最終予選でイラク代表と対戦したが、この試合でサプライズだったのは代表監督ヴァイッド・ハリルホジッチの選んだシステムだ。スターティングメンバーを見た段階では先日のシリア代表との親善試合と同じく右のウイングに久保裕也、左に原口元気、最前線に大迫勇也が入り、そして本田圭佑がシリア戦で好印象を残したインサイドハーフに入ると思われた。ところが始まってみると久保は左、本田は右に、そしてトップ下の位置に原口が入っていた。ダブルボランチは井手口陽介と遠藤航の2人が務め ており、シリア戦とはまるで異なる配置だった。

やはり疑問なのは本田と原口の位置だろう。本田はミランでほとんどの時間を右サイドハーフとして過ごしてきたが、中央でこそ強みを発揮できる選手だ。先日のシリア戦でも本田のインサイドハーフ起用は高評価で、再びサイドで起用する必要があったのかは疑問が残る。日本代表では昨年10月に行われたオーストラリア代表との試合でも1トップを務めて原口のゴールをアシストするなど、中央で好プレイを見せていた。しかもトップ下はザッケローニJAPANで本田が務めてきたポジションでもあり、サイド起用にこだわる必要性はあまり感じられない。

先日のシリア戦では試合途中からインサイドハーフに入ったが、チームメイトからも評判はよかった。 本田と長く代表で戦ってきた長友佑都、さらに最前線に張る大迫も本田と同じく途中出場した乾貴士も「中盤でタメを作ってくれたことは大きかった」と振り返っている。これだけインサイドハーフが高い評価を受けながら、また本田を右サイドで起用したことは驚きだ。シリア戦のインサイドハーフ起用が想定外だったとしても、大きな収穫にはなったはずだ。
今回のイラク戦では猛暑で体力が奪われたこともあり、主導権をなかなか握ることができなかった。試合後に選手たちはゲーム運びには問題があったと口々に語っていたが、今の日本には中盤でゲームを落ち着かせられる選手がいない。ボランチに入った井手口も山口蛍と同じく豊富な運動量を活かしたファイト溢れるプレイを1つの持ち味としてお り、相棒の遠藤航も交代で入った今野泰幸もセンターバックを任されることもある守備的な選手だ。それこそこれまで日本の中盤を落ち着かせてくれた遠藤保仁のような選手はいない。今回は主将の長谷部誠、シリア戦で肩を負傷した香川真司が不在だったこともあり、日本らしくボールを回しながらゲームをコントロールすることは難しい状況だった。だからこそ、シリア戦でチームメイトからも高評価だった本田の中央起用は試す価値のあるオプションだったはず。

それこそ香川や清武弘嗣などトップ下を得意とする選手が他にいたならば、本田を右サイドに回すのもいいだろう。しかし今回はヘルタ・ベルリンでもサイドを主戦場としている原口がトップ下に入っている。原口はサイドでの献身的な動き が最大の持ち味で、イランの猛暑を考えると原口のサイドを上下動する献身性も守備における1つの武器だったはず。それを慣れないトップ下で起用したのはサプライズだった。何度かドリブル突破から良いプレイを見せていたが、絶対に勝ち点3が欲しい大一番で慣れないトップ下を任されたことには戸惑いもあっただろう。

また、井手口、酒井宏樹と怪我人によるアクシデントが起こったことも原因だが、この試合ではシリア戦で最高のパフォーマンスを見せた乾を起用することもできなかった。選手起用やシステムを含め、イラク戦を想定していたはずのシリアとの親善試合が活かされたとは言いがたい。日本は勝ち点1を加えて何とかグループ首位を守ったものの、最終戦のアウェイでのサウジアラビア戦 も今回のイラク戦同様に難しいものになることが予想される。8月にホームで戦うオーストラリア戦に勝てば予選突破が決まるが、イラク戦で見せた守備のミスなどもあってグループ首位とは思えないほど不安感が広がってしまっている。

昨年のオーストラリア戦でもハリルホジッチは本田の1トップ起用などサプライズを披露したが、普段やり慣れていない奇策にはリスクもある。この1年でチームとして成長したところを見せられるのか、8月のオーストラリア戦ではハリルJAPANが追い求めてきたサッカーを見せてほしい。

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