【特集/今、欧州4大リーグで目が離せない46人 3】チーム浮沈のカギを握る セリエAで注目の新旧スター

トップチームで頭角を現したニューカマーたち

トップチームで頭角を現したニューカマーたち

レンタルから復帰しチーム内での地位を確立したスソ photo/Getty Images

2016-17シーズンのセリエAは第12節まで終了した。首位は大方の予想どおりユヴェントスだが、予想に反して好成績を収める“古豪”や、サプライズを起こす地方のクラブも目立っている。そんな各チームには、必ずキープレイヤーたちがいる。

若手の台頭は、他のクラブにとって予想しにくいもの。ゆえに、そういった選手が登場すれば、チームはリーグにおけるサプライズとなり得る。

5位アタランタが好例だ。19歳のMFフランク・ケシーはコートジボワール人ということもあり、「ヤヤ・トゥレの再来」という声がある。ケシーのパートナーを務めるロベルト・ガリアルディーニは、11月にイタリア代表初招集を受けた22歳。188cmの長身を生かしたフィジカルが最大の魅力だ。最終ラインには22歳のマッティア・カルダーラがおり、同じ22歳のサイドプレイヤー、マッティア・コンティも評判が良い。そして前線には21歳のアンドレア・ペターニャがいる。ミラン下部組織出身の彼は、セリエBアスコリへのレンタルから戻ってくると、ペナルティーエリア内で存在感を発揮。そのプレイは“重戦車”元イタリア代表のクリスティアン・ヴィエリと比較されるほどだ。アタランタ旋風の発生源は、若手の切磋琢磨なのである。

また、3位と好調なミランにも新しい風が吹いている。レンタルから戻ってきた22歳のMFスソは、すでにチーム内での地位を確立し、本田圭佑を完全にベンチに追いやる要因の一つとなった。また、18歳のMFマヌエル・ロカテッリは10月のユヴェントス戦で決勝弾を決めて、一気にミラニスタたちのアイドルとなっている。昨年のGKジャンルイジ・ドンナルンマのブレイクに続いて、ミランは難しい台所事情から未来のスターを生み出した。

遂に覚醒へ 2年目で爆発した実力派

遂に覚醒へ 2年目で爆発した実力派

今季はズバ抜けた攻撃センスをフルに発揮するアレックス・サンドロ photo/Getty Images

ミランの場合、昨シーズン期待外れに終わった選手の復活も大きい。夏に移籍の話題が出ていたFWカルロス・バッカは、セリエA開幕戦のトリノ戦でハットトリックを達成すると、その後もコンスタントにゴールを決めている。また、DFアレッシオ・ロマニョーリの成長も見逃せない。昨年夏にミランの一員となった21歳の有望株は、新天地1年目もコンスタントにプレイしていたが、今シーズンは明らかに頼もしさが増している。

2位ローマは、FWエディン・ジェコが本来の力を発揮し始めた。昨シーズン、イタリア1年目で適応に苦しんだ元マンチェスター・シティFWは、2年目に点取り屋としての本能を存分に発揮。ここまで10ゴールを挙げて、インテルのマウロ・イカルディと並んで得点ランクのトップを走っている。

首位のユヴェントスでは、アレックス・サンドロがフィットした。今季ここまでリーグ戦12試合すべてに出場。昨年夏にユヴェントスが大金を投じて獲得したブラジル人左サイドバックは、35歳パトリス・エブラの後を引き継ぐ準備ができた。

環境変化もなんのその! 新チームで“即活躍”の5人とは

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積極果敢な攻め上がりでファンのハートを鷲掴みにするカンドレーヴァ photo/Getty Images

新天地でフィットしている選手も見逃せない。例えばラツィオからインテルに移籍したMFアントニオ・カンドレーヴァだ。インテル自体は調子が上がらないものの、そんな中でほぼ毎試合高い評価を受けている選手である。昨シーズン終盤までラツィオを率いていたステファノ・ピオリがインテル監督に就任した今、チームでさらに重要な役割を担うことになるかもしれない。

今夏の移籍市場で最も大きな波紋を呼んだFWゴンサロ・イグアインも忘れてはいけない。ナポリからユヴェントスに移籍し、その金額に見合う働きができるかを疑問視する声もあったが、ナポリの大エースは王者に行っても変わらなかった。バルセロナからやってきたDFダニエウ・アウベスも期待を裏切らない活躍を披露。33歳という年齢は気になるところだったが、長年世界のトップで戦い続けた右サイドバックの実力に疑問符をつけることは失礼だったかもしれない。

ラツィオに加入したFWチーロ・インモービレは、かつての姿を取り戻した。2014年、セリエA得点王の肩書きを引っ提げてドイツに渡りボルシア・ドルトムントの選手となった彼は、順調だったキャリアの道が突如として険しくなっている。しかし、今シーズンはここまでセリエAで9ゴールを決め、完全に自信を手にした様子だ。また、レンタル先のインテルに必要とされず、今年夏にローマから移籍したMFアデム・リャイッチが新天地トリノでチームの好調を支えていることにも触れておきたい。

百戦錬磨の大ベテランも忘れてはならない

百戦錬磨の大ベテランも忘れてはならない

洗練されたテクニックで今もチームに貢献するトッティ photo/Getty Images

若手や新戦力のフィットがサプライズを引き起こすとしたら、一定の地位を築いたベテランが安定したパフォーマンスを見せることは、チームに期待どおりの力を発揮することにつながる。

安定した強さといえばユヴェントス。ユヴェントスといえばジャンルイジ・ブッフォン。38歳の大ベテランはいまだ衰え知らずで、11月のイタリア代表戦では通算キャップ数を167としてスペイン代表のイケル・カシージャスに並んで、欧州記録トップタイになった。不動の守護神の前にいるDFアンドレア・バルザーリも35歳のベテランだが、見事なプレイを続けている。年齢による衰えは気にならず、むしろそれを円熟味にしてディフェンスラインを牽引中だ。

そして、イタリアを代表するベテランがもう1人いる。ローマのFWフランチェスコ・トッティだ。9月に40歳になった王様は、もちろんフルタイムで戦うのは難しい。それでも短い時間でゴールに絡み、ロマニスタたちを喜ばせている。チームメートのダニエレ・デ・ロッシも安定したパフォーマンスを続けてローマの中盤を支配している。ただ、王の退位がまだなので、33歳のベテランは長年次期キャプテンを続けているところだ。

近年、ユヴェントスに一泡吹かせようと健闘していたナポリは、「イグアインの後釜は荷が重い」と思われて加入したFWアルカディウシュ・ミリクが最高のスタートを切った後に負傷離脱すると、勝ちきれない戦いが目立っている。だが、34歳のベテランGKホセ・マヌエル・レイナが奮闘して、被害を最小限にとどめ6位で踏ん張っているところだ。

若手がカギとなって序盤戦のサプライズとなったアタランタ。2年目のブレイクや有望株の台頭があって復権への一歩を踏み出したミラン。自信を取り戻したかつてのセリエA得点王を手にしたラツィオ。そして、大ベテランがチームに安定感をもたらすローマとユヴェントス。上位陣だけでも、さまざまなタイプのキープレイヤーが存在する。このままキープレイヤーたちが調子を維持していくのか、それともまだ見ぬキープレイヤーが眠っているのか。チームの浮沈を握る選手たちに注目だ。

文/伊藤 敬佑
イタリア・セリエAの熱に吸いよせられ、2007年、大学卒業と同時にイタリアへ渡る。以後、現地在住のフットボールライターとして、イタリアサッカーを追い続ける。ミラノを拠点に、インテルやミランを中心に取材活動を展開し、現地からの情報を提供している。Twitterアカウント: keito110

theWORLD 2016年12月号の記事より転載

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