【特集/サムライフットボーラーの現在地 2】再認識される岡崎、吉田の存在価値 プレミアのサムライは今季こそ輝ける

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戦力アップで出場減も岡崎は信頼されている
プロの世界は浮き沈みが激しく、チーム内で選手の立場はわずかな期間で変化する。評価を高める選手がいれば、逆の選手もいる。昨季、プレミア史に残るサプライズ優勝を遂げたレスターでプレイする岡崎慎司の場合はどうだろうか。単純に昨季と今季の現時点(第17節終了時)での出場数から、クラウディオ・ラニエリ監督がどれだけ岡崎を起用しているかみてみたい。

レスター加入1年目だった昨季は、早々とラニエリ監督の信頼を勝ち取り、開幕戦から出場を重ねた。第17節を終えて実に16試合に出場し、プレイ時間はちょうど800分で3得点1アシストだった。得点数はさておき、前線で見せる運動量、献身的な動きが評価され、試合を重ねるに連れてチーム内での地位が確立されていった。岡崎、ジェイミー・バーディのコンビでスタートし、岡崎の運動量が落ちたらレオナルド・ウジョアと交代するのがひとつのパターンだった。

今季もすでに第17節が終了している。岡崎は13試合出場で2得点(アシストなし)、プレイ時間は674分となっている。先発も昨季10試合だったのに対して今季は8試合となっていて、どの数字も昨季>今季となっている。

無論、今季のレスターはUCLに出場しており、日程的に厳しいためプレミア出場数が減っているという見方もある。しかし、そのUCLでもグループリーグ6試合中4試合の出場で、2試合が途中出場で先発したのは大勢が判明した終盤の2試合となっている。重要な意味を持つ初戦、2戦目に岡崎は出場しなかった。

チームは常に進化しており、同じメンバーで2年、3年と戦い続けることはまずない。今季のレスターはアルジェリア代表のイスラム・スリマニとナイジェリア代表のアーメド・ムサを補強し、攻撃陣の層を厚くしている。昨季はバーディに次ぐ実質2番手だったが、今季はスリマニにその座を譲り、3番手となっているのが現状である。

とはいえ、加入当初は4番手、5番手と言われていた。そこからウジョア、アンドレイ・クラマリッチ(すでに移籍)などとのポジション争いを制して出場を重ねた。岡崎のプレイスタイルはどんなときも変わらない。ひとたびピッチに立てば、懸命に足を動かし、どん欲に、泥臭くゴールを目指す。選択肢が増えたラニエリ監督もその特徴を十分に把握している。

「シンジはとても重要な選手だと、彼を起用しなかったことで気づくことができた。(昨季のメンバーから)われわれはエンゴロ・カンテとシンジを失っていたんだ。しかし、ひとりは帰ってきた」

これは、第10節トッテナム戦に1-1で引き分けたあとにラニエリ監督が現地メディアに語った言葉である。攻撃陣の選手層が厚くなったため、たしかに昨季よりも出場できていない。しかし、指揮官からの信頼は決して失われていない。

絶対的なCB2名に次ぐ存在 吉田はUELで出場を重ねた

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ボーンマス戦に先発し、上々の評価を得た吉田 photo/Getty Images

吉田麻也がプレイするサウサンプトンは昨季から今季にかけて、監督交代があった。ロナルド・クーマンがチームを去り、新たにクロード・ピュエルを指揮官として迎えている。そうしたなか、吉田のCBとしての序列は昨季から変わっていない。ポルトガル代表のジョゼ・フォンテ、オランダ代表のフィルジル・ファン・ダイクという良質な2人がいるため、3番手となっている。

ただ、現在のサウサンプトンはCBが3名しかいない。明らかに手薄で、しかもフォンテはすでに33歳だ。プレミアとUELを戦う過密日程を考えると、フル稼働させられない現実がある。こうしたチーム事情を受けて、ピュエル監督はプレミアとUELでCBに起用する選手を変えていた。プレミアはフォンテとファン・ダイク。UELはファン・ダイクと吉田のコンビというのが基本だ。

そのため、プレミアでは昨季の同時期と比べると大きく出場数が減っている。第17節を終えて12試合に出場して788分のプレイだったのに対して、今季は3試合で270分となっている。一方で前述のとおりUELには監督の信頼を得て出場しており、チームが戦った6試合(540分)すべてにフル出場している。また、昨季はクーマンのもと右SBも務めたが、ピュエルはCBとして起用しており、これが出場減につながっている。

出場機会を得たUELで吉田は安定したパフォーマンスを見せた。とくにインテルとの対戦では評価を高め、ピュエル監督も「われわれには3人のCBがいて、それぞれ高いレベルでプレイしている。(吉田も)良いプレイをすることで自信を高めていて、その能力をインテル戦で発揮してくれた」との言葉を地元メディアに残している。また、リーグカップ5回戦のアーセナル戦では、吉田は見事なロングフィードでチャンスを演出。先制点のきっかけをもたらした。少なくともフィードの正確さにおいては、吉田はフォンテやファン・ダイクにひけをとらないはずだ。

絶対的なCBが2人いるため、プレミアにはなかなか出場できていない。残念ながらUELでは敗退したため、今後どれだけ出場機会があるかわからない。しかし、チーム事情を考えると吉田は貴重な戦力であることに変わりはない。サウサンプトンのなかで、手放せない選手のひとりになっている。

文/飯塚 健司

サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より5大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。Twitterアカウント : scifo10

theWORLD181号 2016年12月23日配信の記事より転載

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