ポルトガル国内リーグでは10試合で16ゴール、チャンピオンズリーグでは5日のマンチェスター・シティ戦でハットトリックを記録するなど、スポルティングCP所属FWヴィクトル・ギェケレシュが止まらない。
26歳のスウェーデン代表FWギェケレシュはすっかり世界が注目するストライカーとなったわけだが、ここまでのポテンシャルを備えた選手と考えていた人はどれだけいただろうか。
ギェケレシュは決してエリート街道を歩んできたタイプではない。2018年にブライトンと契約すると、そこからドイツのザンクト・パウリ、イングランドのスウォンジー、コヴェントリーとレンタルで渡り歩いてきた。コヴェントリーに在籍していた2021年の市場価値は僅か250万ユーロとなっていて、ギェケレシュのことを知っていた人はあまり多くないかもしれない。
それが今では市場価値が7000万ユーロにまで跳ね上がっており、5大リーグ挑戦の時はもう間もなくだろう。英『sky Sport』もギェケレシュの進化には驚いており、「4年前までイングランド2部で苦労していたことを考えると、今の活躍はかなり印象深い」とギェケレシュのキャリアを振り返っている。
2020-21シーズンにはブライトンからスウォンジーにレンタル移籍したが、スウォンジーではイングランド2部リーグ11試合に出場して0ゴールと全くの期待はずれに。シーズン途中の2021年の冬にはコヴェントリーにレンタル移籍することになるのだが、そこでもリーグ戦19試合で3ゴールと目立つ成績ではなかった。
それでもコヴェントリーはシーズン終了後にギェケレシュを完全移籍で獲得することになるのだが、コヴェントリーでアシスタントマネージャーを務めていたアディ・ヴィベアシュ氏はこの判断に迷いがあったと振り返っている。
「正直、様々な意見があった。リスクがあるんじゃないかとね。スウォンジーでの彼を見た時、失礼ながら良いプレイではなかった。その後の彼のパフォーマンスに関しても、我々は不満を抱いていた。強くもなく、迫力もない。中央で上手く役割をこなせていなかった。サイドに流れたがるFWだったんだ。ゴールに背を向け、接触を避けようとしていたように見えた」
「しかし次のシーズン、まるで別人と契約したかのようだった。彼はオフシーズンにジムで懸命にトレーニングを重ねたんだ。ゴールを背にしてのプレイはどうなったか?それがチームトレーニングでセンターバックをぶちのめし始めたんだよ。彼は間違いなくプレミアリーグや、その他トップリーグで9番を務めるために必要なパワー、スピード、自信を備えている。ゴールを決める力もあるしね」
ギェケレシュは続く2021-22シーズン、コヴェントリーでリーグ戦17ゴールとブレイク。2022-23シーズンにはリーグ戦21ゴール10アシストまで数字を伸ばし、スポルティングCPへとステップアップした。スポルティングCPでも通算67戦66ゴール19アシストと手がつけられない。
ヴィベアシュ氏は、ギェケレシュがコヴェントリー時代の後半に見せていたパフォーマンスはイングランド2部のレベルではなかったとも振り返っている。イングランド2部はフィジカルバトルも激しい環境にあるため、そこで長くプレイしたこともギェケレシュの成長に繋がったのだろう。今ではアーリング・ハーランドと比較されるまでの存在となっており、すっかりワールドクラスの点取り屋だ。