ポゼッションにこだわらぬグアルディオラの“進化” ドク、ハーランドらで磨かれる速攻の精度「別のチームとなった」

選手に指示を出すグアルディオラ photo/Getty Images

以前より縦へのスピード感は増している

バルセロナやバイエルンを指揮していた頃のジョゼップ・グアルディオラには、『ポゼッションサッカー』のイメージがついていた。ポゼッションをベースとしたグアルディオラのアイディアがサッカー界に革命を起こしたのは事実で、グアルディオラもポゼッションの部分には並々ならぬこだわりを見せてきた。

ただ、マンチェスター・シティの指揮官に就任して以降のグアルディオラは徐々に別の顔を見せるようになった。ポゼッションを捨てたわけではないが、トレンドの変化を取り入れながら『速攻』の部分にも磨きをかけている。

英『sky Sport』は、左サイドでドリブルを連発する新戦力FWジェレミー・ドクに注目している。昨季はジャック・グリーリッシュが左サイドに入っていたが、突破力ではドクが数段上をいく。すでに序列は逆転しつつあり、グアルディオラもドクの突破力を頼りにしている。
ドリブルを仕掛ける場合は失敗してボールを奪われるリスクもあるが、同メディアはグアルディオラが縦へのスピード感を意識するようになった証拠と取り上げており、マンCでの変化に注目している。

「シティはハーランドとともに別のチームとなった。ペナルティエリアに君臨するハーランドはビルドアップにほとんど関与せず、彼のフィニッシュまでシティは事実上11人ではなく10人でプレイしているようなものだ。これはグアルディオラの監督キャリアの中で、ポゼッション率の最大の低下をもたらした。今季もこれまでのところは、ポゼッション統計が低下傾向にある。これに関してはドクが左サイドでグリーリッシュよりも好まれていることも影響していると言えるし、負傷したデ・ブライネの代わりにフリアン・アルバレスが起用されていることも関係しているだろう」

「グアルディオラは常にポゼッションを追求してきたが、マンマークをベースとした守備戦術の台頭により、問題が生じてきた。シティがスペースを見つけられない場合、彼のポゼッションゲームは少し予測されやすいリスクがある。その際にドリブルは違いを生み出すのに役立つ」

同メディアによると、今季のマンCはボールキャリーが90分平均で123.3回もあるという。ここで言われるボールキャリーとは、ボールを持った選手が10メートル以上ドリブルでボールを運んだプレイを指している。マンCの123.3回はリーグでもダントツのトップで、2位はアーセナルの99.9回となっている。

ドクに加え、中盤のマテオ・コバチッチもボールを運べる選手だ。相手のマークを外すうえで、グアルディオラが1対1の部分にこだわっているのは間違いない。右に入るフィル・フォーデンも個人で勝負できる選手で、ドクとの両翼は脅威だ。

負傷離脱中のデ・ブライネの穴を埋めるアルバレスも本来はFWの選手で、デ・ブライネほど器用なタイプではない。ただ、縦への推進力はデ・ブライネにも負けないものがある。縦への加速感はプラスされており、グアルディオラはデ・ブライネ抜きでも十分に戦える攻撃陣の構築に成功している。

バルセロナで監督キャリアを始めた頃からは大きく変化しており、様々なアイディアを取り入れる柔軟性もグアルディオラが成功し続けている理由なのだろう。

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