タレント豊富な日本代表を後ろから支える“貴重な3選手” ステップアップや新シーズンの飛躍にも期待

水沼貴史の欧蹴爛漫080 

水沼貴史の欧蹴爛漫080 

日本代表の新キャプテンを任された遠藤 photo/Getty Images

進化し続ける日本代表の新主将・遠藤

水沼貴史です。近年はさまざまな日本人選手が海外へ飛び出し、より高いレベルで腕を磨いています。そんな中で、2022-23シーズンは欧州各国リーグで結果を残した日本人選手が、特に多かったのではないでしょうか。今までにはないシーズンだったと思います。その勢いが6月の日本代表戦にもあらわれており、エルサルバドルとペルーを相手に素晴らしい試合を披露しました。そこで今回は、2022-23シーズンの活躍を含めて、先の日本代表で気になった3選手に関してお話をしたいと思います。

まず1人目はMF遠藤航です。日本代表の新キャプテンに任命されましたが、所属クラブのシュツットガルトでもキャプテンを任されていますし、本人も違和感なくやれているようなので、問題ないでしょう。「W杯優勝」を口にしていることからもわかるとおり、メンタル面なども充実していると思います。これから発言や行動により注目が集まることになるかもしれませんが、遠藤らしく普段通り振る舞えば、チームもうまく回るのではないでしょうか。

ブンデスリーガのデュエルキングになるなど、これまでは球際の強さやボール奪取力がクローズアップされてきましたが、2022-23シーズンは前に出ていく仕事が抜群に良くなったので、そこは代表活動でも顕著に出ていたと思います。実際に遠藤は昨季、シュツットガルトでリーグ戦33試合に出場し、5ゴール4アシストを記録。第33節マインツ戦では貴重な同点ゴールを決め、チームを逆転勝利へ導くとともに、自動降格圏内からの脱出に貢献していました。
また、ゴール前に顔を出す回数やラストパスを出す回数も圧倒的に増えており、大事な場面でゴールを奪っていた印象です。ゴールに直接関与したり、ボールを奪ってからすぐ前線に正確なパスを出したり……。顔は下がっているようだけれど、その前の状況をしっかり把握しているからこそ、次のプレイが素早く判断できているんだろうなと思いました。

チームとしては苦戦を強いられたシーズンでしたが、遠藤個人としては大きく成長・進化したシーズンではないでしょうか。アジアカップやW杯のアジア予選をどのように戦っていくかはわかりませんが、日本代表でも今後、ゴールに直結した仕事にも期待したいです。そして、30歳という年齢や家族の存在を考えると、遠藤に関してはステップするのもアリでしょうし、このままシュツットガルトでプレイし続けるのもありだと思います。環境は重要だと思いますが、そこら辺を含めて今後の活躍にも期待しましょう。

右サイドで存在感を発揮する菅原 photo/Getty Images

素晴らしい攻撃力でSB定位置争いリードの菅原

2人目はDF菅原由勢です。2020年にオランダのAZへ加入すると、2022-23シーズンは公式戦47試合に出場しました。現代サッカーのサイドバックはいろいろなことができないといけないですし、それを3月と6月の代表戦を含めて、しっかり発揮してくれていると思います。

なんといってもその攻撃力が素晴らしい。昨季のエールディヴィジでは3ゴール8アシストと、目に見える結果を残していました。6月のペルー戦などでもたびたび見られましたが、サイドバックにも関わらずゴール前まで入ってこられるし、顔を出してシュートを打つこともできる。ビルドアップの際にも色々なアイデアを持っていますし、オランダへ行ってから全てが進化しており、高いレベルで行うことができるようになっているなと感じました。

視野が広く、思い切りの良さもある。中盤から前でプレイするような選手が持っているようなイメージも描けていますし、そこがサイドバックとしては非常に新鮮。そういう選手が後ろにいることで、チームとしても攻撃のバリエーションかなり増やせて、相手に対して優位性を保てるのではないでしょうか。クラブではウイングのポジションを任されることもあり、それが大いに役立っているのかもしれませんね。

昨季のカンファレンスリーグでは、ラツィオやウェストハムといった強豪とも対戦。若くして色々な経験を積んでいますし、普段から対峙している相手のレベルが違うと思います。攻撃面だけでなく、最後にしっかり身体を張れるなど、守備面も良いです。23歳という年齢を考えても、今後はどんどんステップアップしていくでしょうし、将来が楽しみで仕方ありません。長友や酒井といったサイドバックの後継者問題が指摘されることもありましたが、右サイドは菅原が一歩二歩抜け出したのではないでしょうか。

6月の代表活動でしっかりアピールした旗手 photo/Getty Images

旗手が見せる献身性。もっと評価が上がるべき

最後はMF旗手怜央です。彼は本当に周りの選手のためにプレイできる。献身性に溢れた選手で、改めて日本代表にも欠かせない選手だなと思いました。今の日本代表の前線にはわかりやすいタレントが多いですが、彼らだけではチームとして決してうまくいかないですからね。旗手は自分のことが周囲に取り上げられなくても、不満そうな顔というか、そういう感じを絶対にみせない。彼のような選手がチームにいるということは、非常に大きいと思います。もっともっと評価が上がっていい選手だと思います。

エルサルバドル戦では積極的にビルドアップに絡んだり、自らシュートを打ったり、キーパスを出したり、主役級の活躍を見せました。一方で、ペルー戦ではボールを受けることのできる鎌田らがいたことで、中盤でバランスを取ったり、守備で支えたり、黒子に徹していました。旗手はそういうことをいとわずにやれるんです。悔しい思いもしているかもしれませんが、だからこそ複数のポジションもこなせるし、監督から高い信頼も得られているのでしょう。

旗手は所属クラブのセルティックでも、2022-23シーズンに公式戦45試合に出場。9ゴール11アシストと目に見える結果を残しました。そして、CLではレアル・マドリードらとも対戦し、素晴らしいプレイを見せていました。先に述べた献身性だけでなく、もともと走り続けられる体力や高い技術も持っているので、目に見える結果も残せます。代表になかなか呼ばれない時期もありましたが、クラブでしっかり結果を残し、これだけやれるんだというのを証明できたと思います。

旗手にはプレミアリーグからの関心も伝えられていますし、菅原と同様にステップアップが期待される選手ですね。フロンターレ時代からそうでしたが、全てにおいて高いレベルでプレイできる万能な選手です。それがスコットランドへ行ってさらに成長していますし、1つのことが出来なかったからといって無理だとか、これがダメだから失敗だとはなりにくいと思います。熱いハートも持っていますし、セルティックでの活躍により、もっと上のレベルでもやれるという自信もおそらくあるでしょう。近い将来、より大きなクラブでプレイする姿が見たいです。応援したい選手ですね。

これまで取り上げた3選手はそれぞれ特長がありますし、2023-24シーズン以降ももっともっと成長と活躍ができる選手だと思います。ステップアップを含めて、今後も注目していきたいです。今の日本代表も、前線のタレントたちに注目されがちですが、彼ら3選手のような支えがあるからこその活躍だということを忘れないでください。

それでは、また次回お会いしましょう!

水沼貴史(みずぬま たかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。YouTubeチャンネル『蹴球メガネーズ』などを通じ、幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている

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