[カタール通信 06]カタールで森保一監督が語った「時代」という言葉

ドイツ、スペインを破ったハリファ国際スタジアム photo/Kenji Iizuka

“新しい景色”は見えたか

グループステージからラウンド16まで、大会は休養日なく行われてきた。日本代表は4試合を戦い、残念ながらW杯から去った。この間、森保一監督は試合前日、試合後などに設けられる記者会見で多くの言葉を残してきた。そこで、今回は印象に残ったコメントを2つ紹介してみたい。

「残り1分ぐらいのときに、ドーハ(の悲劇)の記憶が出てきました。ちょうどそのとき、選手たちは前向きにいっていました。ああ、時代は変わったんだと思いました」(2-1で勝利したスペイン戦後の記者会見より)

1点をリードし、残り数分という状況は1993年10月28日のイラク戦と同じだった。もし同じように終了寸前に失点して2-2になっていたら、スペイン、ドイツと勝点4で並び、得失点差で3位となって敗退となるところだった。
森保監督の頭のなかに思わずあのときの記憶が浮かんでも不思議はなかったが、スペイン戦のピッチにはあの出来事以降に生まれた選手が数多く立っていた。勝利を掴み取るべく前向きに、必死にプレイする姿を頼もしく感じたのだと思う。

「優勝経験国に勝てるという新しい景色を選手たちが見せてくれました。世界で戦い、勝っていけるという新時代を選手たちが見せてくれました」(PK戦で敗れたクロアチ戦後の記者会見より)

目標に掲げていたラウンド8という新しい景色には到達できなかったが、グループステージでW杯優勝経験があるドイツ、スペインを下して首位通過した。また、2大会連続でラウンド16進出を果たした。どちらも日本サッカーにとってはじめてのことで、これはもう、新しい景色を見たと言って差し支えないだろう。

2つのコメントに共通するのが、時代という言葉が入っているということ。今大会を取材していると、日本サッカーの発展はもちろん、世界のサッカー勢力図が間違いなく変わってきているなと感じる。サッカー界全体が、新しい時代に突入している。

数年後、数十年後には森保監督が新時代と表現したいまも、懐かしい過去となっている。この「新時代」をベースとして、常に向上心を持ち、成長することを諦めなければ、ラウンド16の先へと進んでいる未来が必ず待っているはずである。

文/飯塚 健司(ザ・ワールド編集ディレクター)

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