[名良橋晃]ブラジル戦でわかった日本の立ち位置は? 役者にアジャストすべき

言い訳はもういらない カウンターの精度アップを

言い訳はもういらない カウンターの精度アップを

ブラジル戦での日本代表はやれていた。最低でも引き分けで終わりたかった photo/Getty Images

 ブラジル戦でわかったのは、0-1というスコア以上に差があるなということでした。これは、実際に戦った選手たちが一番感じたと思います。やはり、ブラジルもW杯に向けて本気度が高かったです。本大会を想定するなら、この相手にも日本はなんとか最低でもドローで終わりたかったですね。

 それぞれの方が、それぞれの印象を抱いたと思います。たしかに、チャレンジはしていました。しかし、ミスに目を瞑っていたらなにもはじまりません。ビルドアップを引っかけられてボールを奪われ、カウンターを受けてPKを献上しました。

 先だって行われたパラグアイ戦の失点も同じでした。ビルドアップのときの各選手の立ち位置、ボールの運び方に関して、もっともっと落とし込まないといけないです。ボールを奪いました。前を向き、味方のポジションを確認し、パスを出す。レベルが上がってくると、こうした時間の余裕はありません。チームとして取り組んでいると思いますが、もっとオートマティックにつなげないと、逆にショートカウンターの餌食になります。

 ブラジル戦はボールを奪ってもすぐに回収され、また守勢になるの繰り返しでした。アジアでの戦いではボールを持つ時間が長かったですが、レベルが上がってくるとボールを握られる時間が長くなってきます。役者なりのサッカーにアジャストすることが、格上を倒すうえでは必要です。カウンターからゴールできるチーム作りを目指さないと、ブラジル戦と同じようにチャンスを作れずに終わってしまいます。

 私は本当にW杯でベスト8にいってほしいので、厳しい言い方をします。「トライした結果のミス」という言葉が、言い訳に聞こえます。本大会までもう半年しかありません。細かいところまでこだわらないと、ベスト8には届かないです。

 攻撃の基準点という意味で、日本代表の1トップは古橋亨梧が務めましたが、選択肢がそこしかありませんでした。ブラジルのマルキーニョスとミリトンは、「ここにパスが来るよね」という感じで怖くなかったと思います。効果的なカウンターを繰り出せるのは、どんな組み合わせなのか? ブラジル戦では基準点になれるFWの必要性を感じました。

 また、長友佑都が試合後に「個人で仕掛ける認識をもっと持たないといけない」という言葉を残しています。個人の仕掛けがあってこそ、パスが生きてきます。動くことでスペースが生まれ、まわりの選手も生きてきます。個人の仕掛けを単発で終わらせず、グループとしての攻撃に昇華させる。マイボールになったときに、仕掛けているときに、まわりの選手がどれだけスプリントできるかも課題として残りました。

物足りなかったTV中継 ただのお祭りではいけない

物足りなかったTV中継 ただのお祭りではいけない

素早い攻撃を繰り出せず、古橋までボールが届かなかった photo/Getty Images

 個人的に、ブラジル戦で上田綺世を使ってほしかったですね。サイドから仕掛けて、クロスボールが入ってくる。彼の強さ、高さが必要だったと思います。大迫勇也と言われていますが、このタイミングだからこそ上田をみたかったです。古橋亨梧、前田大然のような1トップだと相手が屈強で逃げ道がありませんでした。あのような展開だと、ボールを収める選手が必要だと感じました。

 インサイドハーフを務めた原口元気は存在感があり、あそこで潰せていたのは大きかったです。板倉滉もネイマールをよく潰していたし、GK権田修一も後ろからチームを締めていました。守備に関しては、各選手が粘り強く対応していました。

 とくに、遠藤航は代えが利かない選手であることを改めて証明してくれました。正直、彼以外のアンカーは……というレベルで際立っていました。ブラジルのなかにいてもおかしくないパフォーマンスだったと思います。

 私も現役時代に2回ブラジルと対戦しましたが、名前負けしていて押し込まれる一方でした。それを考えたら、いまの選手たちはぜんぜん戦えていました。名前負けしていませんでした。ゆえに厳しい意見を言わせていただきました。W杯でベスト8にいくためには、この相手を倒さないといけないんです。

 もうひとつ、どうしても言いたいことがあります。今回テレビ観戦したのですが、伝える側が正直にならないといけないと感じました。ブラジル戦の扱いをみていると、「メディアもこのままではいけない」と強く感じました。たくさんの作り手が関わっていて、盛り上げようとしているのはわかります。ただ、ただのお祭りにしてはいけない。

 みんな日本代表に強くなってほしいはずです。だったら、足りないところ、強化すべきところなど、レベルアップにつながる目線で取り上げてほしいです。民放で全国放送されるのはありがたいことですが、もうテレビ中継の作り手も意識を変えていかないとダメだと感じました。

 日本には日本の文化があるのはわかります。ブラジルにはビッグネームがいて、その選手たちを中心に追うのはわかります。ただ、W杯まであと半年もありません。どうやったら日本サッカーがまだ未到達のベスト8にいけるか、せっかく中継しているのだからもっと煮詰めてほしかったです。日本代表目線でいろいろ作ってほしかったです。正直、中継には物足りなさを感じました。

 これはすべて、個人として思ったことです。それこそ、1998年フランスW杯の時代であれば、惜敗とか善戦でもいいでしょう。いまは日本サッカーのレベルが上がり、ファンの目も肥えています。ベスト8にいくためには、どうしたらいいか……。世間に嫌われることを恐れずに、改善点、課題を取り上げていかないとダメだと思います。

構成/飯塚 健司

※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)270号、6月15日配信の記事より転載

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