W杯で味わうことになる強豪国からのハイプレス 日本代表GK陣はその圧力に耐えられるか

今回の代表戦では大迫敬介が招集された photo/Getty images

現状では権田が不動である

日本代表が戦ったアジア最終予選は厳しい戦いの連続だった。初戦まさかのオマーンに敗れ、3節サウジアラビア戦も黒星。ホームのオーストラリア戦で[4-3-3]の最適解を見つけ、そこから浮上してなんとかグループステージを突破した。

次はワールドカップの本選であり、アジア最終予選の何倍も苦しい戦いになる。特に焦点が当たるのは守備陣となる。グループステージの対戦相手はスペイン代表やドイツ代表とボールを握る時間の長いチームであり、日本は守備に追われる時間が長くなる。まずは守ってからどうやってボールを奪うか、そしてボールをどう運ぶのかが大事になる。

アジア最終予選で日本代表にハイプレスを仕掛けてくるチームはいなかった。そのため、このボールを運ぶという点はアジアでそこまで問題になっていない。だが、本大会ではそうはいかなくなる。ゴールキックの場面でつなごうとすればしっかりとマークをつかれることになる。

そこで重要になるのはビルドアップの開始地点であるGKだ。今回の招集メンバーでは権田修一、川島永嗣、シュミット・ダニエル、大迫敬介の4人が選ばれた。

このままいけば本戦も権田が守護神を務めることは濃厚だ。アジア最終予選では不動の地位を築いており、森保一監督からの信頼も厚い。セービングが素晴らしく、現時点でセーブ数51回はリーグトップの数字である。しかし、ビルドアップでの対応に難がある。アジア最終予選では特に気にならなかったが、本大会では致命傷となってしまう可能性は十分にある。

川島のビルドアップも気になる。アジア最終予選の最終節ベトナム戦でゴールマウスを守った大ベテランだが、ボールを受ける位置が低い。センターバック陣との距離感も遠く、フランスではプレイできておらず本来の能力を発揮できずに終わってしまった。

代表で出場機会に恵まれていないシュミットは、ビルドアップでの貢献が見込める現代的なGKだ。シント・トロイデンでは後方からの組み立てに参加しており、スムーズにパスワークに参加する。そしてなんといっても強みはそのサイズだ。197cmと日本代表でもトップであり、ベルギーでもその高さは際立っていた。ボックス内にクロスを放り込まれてもクリアすることができ、クリア数30回は今季リーグ5位の好成績だった。

大迫は22歳にしてサンフレッチェ広島で守護神を務める期待の若手だ。抜群のシュートストップとロングボールに対応できる高めのポジショニングが強みであり、最後尾から広島を支える。ビルドアップでの対応はそれほど得意ではなかったが、今季は積極的に参加してロングフィードから攻撃を操る。0-0とドローとなった浦和レッズ戦では7セーブとビッグセーブ連発でゴールを許さず、組み立てではロングボールを15本中9本成功させるなど、攻守両面で輝いた。

これまでの連携面、監督からの信頼であれば権田が頭一つ抜けている。しかし、本大会を考えると、後方から多少なりともつなぐ必要性が出てくる。その際に誰を選ぶかとなれば面白いポジション争いが行われることになるだろう(データは『SofaScore』より)。

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