久保建英の今後にも影響する? 若手への“大きな賭け”に勝利したレアルが手にしたものとは

来季レアル・マドリード復帰が予想されている久保建英 photo/Getty images

交代からロドリゴとカマヴィンガが躍動する

パリ・サンジェルマン、チェルシー、マンチェスター・シティと昨季4強進出を果たしたクラブとCL決勝トーナメントで対戦し、見事勝利してリヴァプールの待つファイナルへ進出を決めたレアル・マドリード。リヤド・マフレズにゴールを許した際は万事休すかと思われたが、若きロドリゴがチームを救った。

レアルのチームの中心にいるのは、経験と実力のあるベテランたちだ。特にカリム・ベンゼマ、ルカ・モドリッチの働きは素晴らしく、チームを勝利に決定づけるプレイができる。今季のレアルはそんなベテランと共に戦える優秀な若手が多く在籍している。

まずはシティ戦、チェルシー戦で重要なゴールを決めたロドリゴだ。リーグ戦ではヴィニシウス・ジュニオールの活躍もあって控えめに描かれがちな同選手だが、CLではそのヴィニシウスと同等、もしくはそれ以上の存在感を見せる。以前は放出との話もあったが、このCLでの2試合で彼の今後のキャリアが大きく変わったはずだ。

そのヴィニシウスも今季大きく飛躍した若手である。存在感でいえば昨季もあったが、フィニッシュでの精度の低さが彼の評価を下げていた。しかし、今季は得点力が大きく開花し、今では左にヴィニシウスが起用されることが当たり前になっている。ベンゼマに並ぶ信頼感があり、頼もしいドリブラーとなった。

中盤であればエドゥアルド・カマヴィンガの活躍が素晴らしい。夏の移籍市場である8月31日の最終日にリーグ・アンのレンヌからやってきたカマヴィンガ。19歳の選手であるが、冷静さ、ボールを扱うスキルの高さ、守備力などなどどれも高水準であり、10代の選手とは思えないクオリティを持っている。シティ戦では終盤に投入され、相手が追いつけないスピードのドリブルで敵陣を切り裂くと、その流れからPKを獲得してベンゼマがゴールを決めた。インサイドハーフ、アンカーでプレイ可能な選手で、これからが楽しみである。

守備の強度を求められる際は右サイドで起用されることが増えてきたフェデリコ・バルベルデもすでに欠かせない存在だ。このサイド起用がハマっており、シティ戦では120分を戦いきった。基本的な技術が高く、それでいてアスリート能力が突出している。足の速さ、体の強さはピカイチであり、攻守両面で強さを見せる。モドリッチ、クロースの牙城は崩せていないが、直にカマヴィンガとともに中盤を組むことになるだろう。

英『The Athletic』では「レアル・マドリードの若手への賭けは報われた」とヤングスターたちを継続して起用したことを称賛している。これに関してはヴィニシウスが最も当てはまる。今季こそリーグ戦で14ゴール9アシストだが、昨季は3ゴール3アシストだ。プレイタイムは1975分から2492分に増えており、代役を獲得せず起用し続けたかいがあった。

もちろん、ある程度の可能性を示す必要はあるが、今後もこの方針は変わることはないだろう。特に今季はその若手に救われており、成果は出ている。レアル復帰濃厚とされる久保建英にとっても良い傾向だ。ライバルとされるロドリゴはかなり遠い存在へとなってしまったが、久保がレアル復帰となれば根気よく起用される可能性もある。いきなり大活躍は難しいかもしれないが、まずは信頼を得てピッチに出る回数を増やせばおのずと成長する道も見えてくる。

ワールドクラスのベテランに加え、彼らを支えることができる若手が躍動している今季のレアル。ベテランと若手が融合する素晴らしいチームであり、世代交代も意外と簡単に進むかもしれない。

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