ロシアW杯でメンバー入りも
若くして頭角を現し、日本代表の守護神へと期待されていた男が厳しい状況に立たされている。昨シーズンよりポルティモネンセに在籍する中村航輔だ。
2013年に柏レイソルの下部組織からトップへ昇格すると、2015年にレンタル移籍したアビスパ福岡で守護神となり、好守を連発してJ1昇格に貢献。翌年からは復帰した柏で成長を続け、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピックにも出場。2試合に出場し、チームの勝利にも貢献した。
2018年にはFIFAワールドカップのロシア大会でメンバー入りを果たし、柏ではJ2でも経験を積む。そして2021年からは、プリメイラリーガのポルティモネンセへ移籍。自身初の海外挑戦となった。
しかし現状で中村は定位置を確保することができていない。ピッチに1人しか立つことが許されないGKというポジションのため、コンスタントに試合に出ることは難しい。それでも公式戦で実戦経験を積めないというのは、27歳という現状では非常に厳しい。
今シーズンの出場は、第20節のトンデラ戦の1試合にとどまっている中村。その試合もGKの複数選手に新型コロナウイルス陽性者が発生し、起用できるGKが中村のみという状況だった。そんなトンデラ戦では終盤に失点を重ねて1-2で敗れており、2本のセーブを記録した同選手だが、チームを勝利に導くことができず。自慢のセービングもあまり見せることができないままだ。
またポルティモネンセはサミュエルという28歳の正GKが定位置を掴んでおり、彼のリーグでの1試合平均セーブ数は「3.3」と高い数字を残している。これはリーグでも4番目に多く、チームへの貢献度も高い。彼からポジションを奪えないままであれば、出場機会を得るために移籍先を探すことが得策だ。
日本代表も谷晃生など若いGKが育っており、彼らに負けてはいられない。川島永嗣や権田修一と経験豊富なGKが揃う中にも割って入っていきたいところだろう。まずはクラブで実戦での経験とアピールを見せることで、自身の成長へとつなげていきたい。