このままならバイエルンは2ndレグも負ける? ドイツ王者が改善したいビジャレアル戦で見えた2つの問題点

決定機を外し悔しがるトーマス・ミュラー photo/Getty images

昨季はパリ・サンジェルマンに敗れた

4月の2週目のミッドウィークにはCL決勝トーナメントラウンド8の1stレグが開催されており、6日にマンチェスター・シティ対アトレティコ・マドリード、ベンフィカ対リヴァプールが行われ、7日にチェルシー対レアル・マドリード、ビジャレアル対バイエルン・ミュンヘンが行われた。最も結果が読めないゲームとされていたチェルシー対レアルはカリム・ベンゼマがハットトリックを達成し、昨季の欧州王者を破っている。その裏で行われていたビジャレアル対バイエルンは十中八九ドイツ王者の勝利かと思われたが、ホームチームが勝利するジャイアントキリングが起きていた。

今季のリーグ戦では7位と苦戦気味だが、CLでは好調のビジャレアル。ラウンド16ではユヴェントスに快勝し、ラウンド8の初戦は苦しみながらも自分たちのサッカーを貫き通し、バイエルンを破った。

この試合の構図は非常にわかりやすく、バイエルンがボールを持ち、ビジャレアルが守備をする。バイエルンのボール支配率は62%と高くシュート数も22本と多い。しかし、この数字通りに試合を運べたかといわれればそうではなく、攻守両面で苦しめられた。

攻撃ではビジャレアルの[4-4-2]の並びを崩せず、サイドからの突破に望みをかけるしかなかった。だが、それもクロスまでは上げられるが、センターバックのパウ・トーレスや中盤のエティエンヌ・キャプエにはじき返され続けており、効果的とはいえなかった。特に中央を使った攻撃がさっぱり実を結ばず、2ndレグはそこが重要な修正ポイントとなる。

攻撃のちぐはぐさが問題であれば、時間が解決してくれるといえるが、ビジャレアルがバイエルンを本当の意味で苦しめたのは守備だった。ビジャレアルが自陣の深い位置でボールを得ると、勇気をもってビルドアップを行っている。これが非常に正確であり、中盤のダニエル・パレホや前線のジェラール・モレノを起点にバイエルン陣営まで相手のプレスをかいくぐって運ぶことができる。ハーフウェイラインを越えればビジャレアルのものであり、攻撃的な位置を取るアルフォンソ・デイビスやベンジャマン・パヴァールの両サイドバックがオーバーラップで空けたスペースを有効に使い、攻撃を完結させている。自陣最後尾から前線までの運びが非常にスムーズであり、バイエルンが後手に回る場面が散見された。ビジャレアルは90分間、堅守と正確なビルドアップからの攻撃のクオリティを保ち続け、1-0と白星を得ている。

この出来には敵将も打つ手なしであり、バイエルンの監督であるユリアン・ナーゲルスマンが「何も上手くいかず、チャンスもほとんどなかった。私たちは敗北に値するゲームをしてしまった(『MARCA』より)」とコメントを残している。

2ndレグはバイエルンのホームであり、また違った雰囲気で試合を臨むことになるが、攻撃時の組み立てと相手にビルドアップをさせないプレッシング、もしくは即時撤退をナーゲルスマンがチームに植え付けられなければ、次の試合も負ける可能性が高い。それだけ、ビジャレアルのクオリティが高く、ドイツ王者は昨季同様にラウンド8で姿を消してしまうのだろうか。

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