ワン・ビサカは世界最高峰になれる素質を秘めている ウォーカーの成長から見る重要な項目とは

天性の守備を強さを持つワン・ビサカ photo/Getty images

まだ見限るには早すぎる

2019年にクリスタル・パレスからマンチェスター・ユナイテッドへやってきたアーロン・ワン・ビサカ。移籍金は5000万ポンド(日本円にして約80億円)と高額だったが、初年度から35試合に出場。翌シーズンは34試合でピッチに立ち、2ゴール4アシストと素晴らしい数字を残した。

ワン・ビサカは特に守備での貢献度を称賛されている。実際に彼の対人性能は高く、スピードと強さを兼ね備えており、昨季はDFとしてリーグで2番目の88回のタックルを成功させている。好調時には『WeAreTheBusbyBoys』にて元ユナイテッドのポール・パーカー氏に、リヴァプールのトレント・アレクサンダー・アーノルドよりも優れているとの評価を得ている。しかし、今季はその時と比べると存在感は薄くなってしまっている。

そうなった要因として考えられるのは、攻撃での貢献度の低さだ。守備での頼もしさは素晴らしいが、ボールを奪った後の選択肢が少なく、アイデアがあまり感じられない。クロスやパスも正確ではなく、どうしてもリヴァプールのA・アーノルドやマンチェスター・シティのカイル・ウォーカーと比較されると苦しい。今季はラルフ・ラングニックが新監督になったことで、より攻撃で貢献できるディオゴ・ダロトが台頭し、ワン・ビサカの出場機会を奪った。

だが、まだ期待できる。24歳という年齢であり、攻撃での貢献度は監督によってある程度、改善が見込めるからだ。守備はどうしてもアスリート能力がものをいい、ワン・ビサカ級の守備を持つ選手はなかなかいない。だが、攻撃は監督次第でいかようにも化けることがある。それはトッテナムからシティに移籍したウォーカーが証明している。スパーズ時代のウォーカーが攻撃力のない選手だとはいわないが、今シティで見せている後方のパサーとしての姿はなかった。ジョゼップ・グアルディオラからの指導を受けてから明らかにインテリジェンスの部分が成長しており、攻守ともに隙のない世界最高峰のSBになっている。幸いユナイテッドは来季新監督が就任する可能性が高く、アヤックスのエリック・テン・ハーグが有力候補との報道は多い。彼はアヤックスでスペクタクルあふれるサッカーを展開しており、ワン・ビサカをもう旬の過ぎた選手と見限るのは早すぎる。

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