イラン、韓国、オーストラリアといったチームは日本代表にとってアジアのライバルだ。特にオーストラリアはワールドカップ・アジア最終予選で何度も激突しており、日本とは何かと因縁がある。
今回の最終予選でもグループ最大のライバルと考えられていたが、果たして今のオーストラリアはそこまで危険なチームなのだろうか。日本は24日に敵地でオーストラリアに2-0と勝利を収め、カタール大会出場を決めた。
オーストラリアにはホームでも2-1と勝利していたため、これで2連勝となる。以前のオーストラリアには恐怖感もあったが、今となっては負ける気がしないと感じているサポーターもいるのではないか。
オーストラリアは人材育成に苦労しているところがある。今も海外組は多いが、今回の招集メンバーで欧州5大リーグの1部でプレイ出来ているのはドイツ・フランクフルトでプレイするMFアイディン・フルスティッチ1人のみ。決してハイレベルな環境でプレイ出来ている選手ばかりではない。
また、前回のロシア大会から中堅世代が思うほど育たなかったことも痛い。例えば優勝したアジアカップ2015でMVPに輝いたMFマッシモ・ルオンゴ(29)、2018年当時スイスのルツェルンでプレイしていたFWトミ・ユリッチ(30)も今は代表メンバーに入っていない。2人ともロシア大会のメンバーだったが、2020年以降は代表に呼ばれていないのだ。
さらに当時のメンバーで最年少の19歳で招集されていたFWダニエル・アルザニも完全に伸び悩んだ。この選手は2018年にマンチェスター・シティと契約を結んだことから大きな注目を集めたのだが、それ以降はスコットランドのセルティック、オランダのユトレヒト、デンマークのオーフス、そして現在はベルギー2部のロンメルSKとレンタル移籍を連続しており、しかもレンタル先でまったく結果が出ていない。
セルティックにレンタル移籍した2018-19シーズンより、アルザニは全コンペティション合わせても1ゴールしか奪っていないのだ。当然その選手を代表で起用するわけにもいかず、ロシア大会にも出場したアルザニも今回の最終予選では1分も起用されていない。
当時の中堅世代で伸びたのは、現在29歳を迎えたセルティックの大型MFトム・ロギッチくらいか。今後も人材育成の部分で苦労するなら、オーストラリアが日本や韓国、イランといったアジアのトップと互角に戦うのは厳しいかもしれない。
今も決して楽な相手ではないものの、ティム・ケイヒルやハリー・キューウェルらがいたかつてのオーストラリア代表に比べると怖さに欠ける。オーストラリアをアジアトップレベルのチームと呼ぶべきかば微妙なところで、今後は日本のライバルにならないかもしれない。