A・アーノルドVSウォーカーのような論争は意味がない 変化を続けるSBの3つのスタイル

攻撃的な右SBとして知られるトレント・アレクサンダー・アーノルド photo/Getty images

同じスタイルであればどちらが上かを決められる

莫大な放映権料が各クラブに分配されることもあって、上位クラブだけでなく中堅や下位クラブが強くなっているプレミアリーグ。そうなれば上位クラブも彼らに負けない戦力を持つことになり、プレミアのレベルはどんどん上がっている。

その中でも特に、右サイドバックというポジションの充実度は欧州5大リーグで図抜けている。代表されるのはリヴァプールのトレント・アレクサンダー・アーノルド、マンチェスター・シティのカイル・ウォーカー、チェルシーのリース・ジェイムズの3人だ。しかし、彼らで優劣を決めようにもスタイルが違うため、並列で評価することができない。

英『Squawka』では右SBの中でさらに3つにスタイルを分け、そこからそれぞれの選手を評価している。

まず一つ目はプレイメイカータイプだ。バルセロナのダニエウ・アウベス、すでに引退したがフィリップ・ラームらがこの選手であり、A・アーノルドはここに入る。正確なクロスやシュートだけでなく、そういった後方の司令塔としても輝くことが可能であり、イングランド代表では中盤でも起用されている。また、今季は11アシストと得点面でも素晴らしい数字を残しており、このスタイルでは彼が当分トップに立つだろう。

次は最も守備的とされるスタイルだ。SBというポジションはジョゼップ・グアルディオラによって進化し、様々な可能性を秘めたポジションになった。A・アーノルドのようにプレイメイカーとして振舞えるような多様性が花開いている。しかし、そこばかりに気を取られて肝心の守備がおろそかになれば、守備が不安定となってしまう。守備的なSBの代表的な選手でいえば、ウォーカーがここに入る。彼もA・アーノルドほどとはいわないが、プレイメイカー的な動きも可能だ。しかし、ウォーカーの真骨頂は被カウンター時の守備であり、レアルマドリードを崩壊させたキリアン・ムバッペですらウォーカーの前では存在感を薄めてしまう。アーセナルの冨安健洋もここに入るだろう。彼もウォーカー同様にプレイメイカーとしてのスキルを持っているが、冨安の一番の武器といえば守備の堅さが挙がる。

そして、最後は数年前に最も存在したタイプのSBである、サイドでオーバーラップを繰り返すスタイルだ。ウォーカーも以前はこの選手だったが、シティに移籍したことでスタイルを変えている。このポジションで代表的な選手はパリ・サンジェルマンのアクラフ・ハキミやチェルシーのジェイムズだ。ここの選手はSBやWBなのだが、流れの中で高い位置に移動してプレイしていることが多く、ハキミはリーグ戦で3ゴール4アシスト、ジェイムズは5ゴール6アシストと得点に絡んでいる。特にジェイムズは怪我での離脱がありながらこの数字であり、A・アーノルドのようなSB、WBの枠に収まらない選手に成長しようとしている。

基本的にはこの3つのスタイルがあるSB。ここ近年で最も変化のもたらされたポジションであり、その分、比較して誰が一番優れているのかは評価しにくいポジションでもある。

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